漢方つぼ物語


    空にあまたの星がまたたくように、人体に365のつぼが息づく。
    それらのつぼは、その一つひとつが個性的で、おのずから物語を
   語りかけてくる。
    人間…ユーモアとペーソスに満ちたこの小宇宙に幸いあれ!

前口上

 東洋医学を特徴付ける最大のものは、目に見えない生命エネルギーの通り道としての経絡(けいらく)と、そこに順序よく並び、反応点・治療点としての意義をもつ経穴(けいけつ=つぼ)でありましょう。
そのつぼについて二千年も前に著(あらわ)された漢方の古典は、「気穴(きけつ)三百六十五、もって一歳に応ず」としるしております。
気穴とは、いわゆる「つぼ」のことであり、「つぼの数は全身に365あって、一年の日数(ひかず)と同じだ」といっているわけです。
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 鍼灸師・マッサージ師である私どもにとって、つぼは患者さんとの接点であり、それゆえに一つひとつのつぼに対する思い入れには浅からぬものがございます。
と申しましても、365にも及ぶつぼを、日常フルに使いこなしているかと自問いたしますと、心もとない限りです。
正直言って、ここ数年、一度も使ってないと思われるつぼが多くございます。
漢方医学という人類共通の財産を、もっと活用しなきゃもったいない! そんなところから、ひとつの構想が芽吹いてまいりました。
 それは、つぼをひとつずつ紹介して、それぞれに短い物語を添えてゆけば、楽しく有益なものができるのではないか、という遠大にして無謀な企てです。
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 しんみりしたお話もあれば、ばかばかしいお笑いも、荒唐無稽の空想物語もございます。
古今東西の有名無名の主人公が、泣いたり笑ったり恋をしたりしながら、そっとつぼの秘伝を伝授する漢方千夜一夜物語。開幕のベルが鳴り始めたようです。
読者の皆様、もぐさと線香でもお持ちになって、お席にお急ぎくださいませ。

 健康と長寿、そして皆々様の生きがいのある日々を祈って、著者しるす。


 ●この文書は、当会会員である、宮本年起氏の創作です。


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