漢方つぼ物語(139)
だん中(だんちゅう)

〈 「第10回 健康セミナー」より その2 〉

 さあ、楽しく歌を唄いながら、@長生きできる、A元気になれる、B万が一心臓が止まっても生き返る、というキセキのコーナーの始まり、始まりぃー。
 あ、皆さん笑ってますね。ウソか冗談だと思ってるんでしょう? いえいえ、大まじめです。ひととおりおきき頂いた後、「なるほど、ウソじゃなかったな」と思って頂けること請け合いです。

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 では、最初に「2倍長生きできる歌」を紹介します。2倍ですよ!
 その歌はズバリ「さくら」です。だれもが知ってるおなじみの歌詞ですよね。
 「さくら さくら やよいの空は 見わたす限り かすみか雲か 匂いぞ出ずる いざや いざや 見にゆかん 」おっと、お若い方はもう一つの歌詞で習ったかも。 
 「さくら さくら 野山も里も 見わたす限り かすみか雲か 朝日ににおう さくら さくら 花ざかり」
 あとの方の歌詞は昭和16年に改訂されたものだそうです。どちらで覚えているかで年代が分かる、というわけです。
 え? そんなことはどうでもいい、なぜ「さくらさくら」が2倍長生きの歌なんだ、ですって? わかりました、順序立ててご説明致しましょう。
 ある動物学者の研究によると脊椎動物が一生の間に息をする数はほぼ一定だそうです。人の平均呼吸数は、「吸ってはいて」を1回として1分間に18回といわれています。ところで試して頂くと分かるのですが「さくらさくら」をゆっくり歌うとちょうど1分、この間に呼吸は9回する仕掛けになっています。通常の半分の呼吸数、だから2倍長生き! 腹を立てたり、イライラしたりすると呼吸は速まります。ゆったりと「さくら」を歌って2倍長生きしてください。

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 次に元気になる歌。具体的に申しますと、平地をヨタヨタ歩いていた人が坂道をスタスタ歩けるようになる歌です。ヨタヨタがスタスタです。スゴイ!
 それは「うさぎとかめ」です。「もしもしかめよ」で始まる、あの童謡です。さっきの「さくらさくら」は歌うだけで良かったのですが、「もしもしかめよ」は歌うだけではダメなんです。歌いながら、ある運動をして頂きます。それは「スローステップ運動」。和歌山大学の本山 貢(みつぎ)先生推奨の、一段のステップを上がったり下がったりする簡単な運動です。そのとき重要なのは、テンポ。早すぎても遅すぎても効果が出ない。最適な速さは1分間に60拍。もうわかりましたね、「うさぎとかめ」はまさに1分間に60拍の歌なんです。スローステップ運動は腰の深いところにある大腰筋を太くして坂道もスタスタ歩けるようになります。驚くべき効果はすでに幾多の実例で実証済み。あとは実践あるのみ。「もしもしかめよ」でもう一度青春をよみがえらせましょう!

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 キセキの歌、いよいよ佳境にはいって参りました。最後はなんと、死んだ人が生き返る歌。それはスマップの「世界で一つだけの花」。
 ここで「死んだ人」とは呼吸と拍動が止まった人、つまり心肺機能が一時停止して仮死状態にある人です。残念ながら脳死状態の人はもはや生き返りません。心臓と肺が動いていないだけの人は生き返る可能性があります。ただ、脳は4分間、酸素が来ないと脳死状態に陥るので心肺機能の恢復を図り、脳に酸素を送り続けるために心臓マッサージが不可欠です。
 その方法は意識を失っている人の胸の骨に左右の掌を重ねて、胸骨が4〜5p沈むくらいの強さで何度も押し続けるのです。同じテンポで休まずに押し続けることが大切です。これを救急救命法といいます。意識の有無を確かめ、応援の人を頼み119番通報かAEDを持ってきて貰う、気道を確保して、心臓マッサージ30回に付き人工呼吸2回を繰り返す。それが基本です。
 でも大切なのはあくまで心臓マッサージ。そのテンポが1分間100回以上。「世界で一つだけの花」はまさにそのテンポの歌です。
 心室細動で停止した心臓を蘇生させるために最も頼りになるのは、なんといっても自動体外式除細動器(AED)。3分以内にAEDをかけることができれば4人に3人は助かるのだそうです。どこへ行っても非常口とAEDのありかを確かめ、スポーツイベントなどには必ず、AEDを用意しましょう。
 健康で長生きし、いざというときに人助けもできるように、3つの歌をぜひ、心にとめておいて下さいね!

〔P中(だんちゅう)〕体の前の中心線を通っている任脈の17番目のツボ。
取穴:両乳頭間。つまり左右の乳首の中間。第4・第5肋骨間に位置する。
治効:神経的な疲労時の反応点・治療点。心臓マッサージの位置でもある。
《作者から一言》いかがですか。3つの歌、なかなか理論立っているでしょう?「うさぎとかめ」及び「世界で一つだけの花」は歌そのものでなくて、そのテンポと、歌いながらする「動作」が重要なのですが…。救急救命法のお話は、昨年の暮れに東京・代々木の国立オリンピック記念青少年センターで受けたスポーツ鍼灸マッサージの研修の際に教わった最新の内容です。(宮本)



上はだん中の図

 ●この文書は、当会会員である、宮本年起氏の創作です。

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