漢方つぼ物語(143)
間使(かんし)

〈 太郎とお母さんの「整理整頓」 〉

母親「もう、またこんなにちらかして! お母さんに世話をやかせんといて。」
太郎「あ、かあちゃん、手を触れんといて! そのままにしといて、お願い!」
母親「なにが『そのままにしといて』よ! どれだけ手間をかけてることか。」
太郎「それが困るんよ。きちんとちらかしてるんやから、無茶苦茶に片づけられたら、どこに何があるんか、さっぱり分からなくなってしまう。」
母親「世の中に『きちんとちらかしてる』なんて理屈があるもんか! 昔から整理整頓っていうでしょ!」
太郎「母ちゃんそういうけど、整理整頓って意味、ちゃんと分かってんの?」
母親「きれいにするっていう意味でしょ。」
太郎「整理と整頓はそれぞれ意味が違うんやで。整理ってどういうこと?」
母親「う〜ん、そう正面切って尋ねられると説明が難しい。」
太郎「ヒントは『人員整理』」
母親「人員整理って、今はやりの言葉で言うとリストラのことやな。」
太郎「正解! つまり整理とは要らないものを処分するってこと。」
母親「ひどい!じゃ、うちの父ちゃんは役に立たないからリストラされたの?」
太郎「でもよかったじゃない。お父さんは畑を借りて、お米や野菜をたくさんこしらえて、『こんな楽しいことがあったとは!』って喜んでるんやから。」
母親「じゃあ整理っていうのは、要らないものを捨てるってことなんや。」
太郎「そのとおり。次ぎに整頓。これは捨てることではなくって…」
母親「ふむふむ、なんか分かってきたわ。整頓っていうのは、必要なものを、きちんとしまっておくこと。そうでしょ?」
太郎「またまた正解! これをもう少し詳しくいうと、第一に、衣類はここ、道具はここ、って具合に、ひとつひとつの置くところを決めておくこと。」
母親「だいたい物の置き場所って決まっていると思うけど…」
太郎「使った後、それぞれの本籍地に返すことが大切!」
母親「ついテーブルの上に置きっぱなしにして、気付いたら机の上にすきまがなくなって、なにがどこにあるのか分からなくなってしまうのよね。」
太郎「置くところを決めて、いちいちそこに返すこと。それから全体が見渡せるような収納を心がけることが大切。」

          ***

母親「散らかし屋の太郎にそんな説教されるとは夢にも思わなかったわ。」
太郎「家をすっきり片づけるには、やはり不要品を捨てる事に尽きるよね。」
母親「それがむずかしいのよね。思い切って捨てようとは思うんやけど、いやいつかこれが必要なことが起こるかも、なんて考えると捨てられない。」
太郎「写真や手紙もなかなか捨てる決心がつかない。」
母親「そう、太郎が幼稚園のときに描いた下手くそな絵とか。」
太郎「『下手くそ』は余計や。母ちゃんが若いときに着た服は捨てていいよね。」
母親「色もデザインも時代遅れ。恥ずかしくてとても着るわけにはいかんわ。」
太郎「第一、それだけ太っちゃったら、入らないよね!」
母親「そこまでいわんといて!」
太郎「母ちゃん、そこで太郎がとっておきのアイデアを提供するよ!」
母親「アイデアって、思い切って要らない物を捨てられるアイデア?」
太郎「そのとおり! これは1億円くらいの値打ちあるアイデアやで!」
母親「それはオーバーやけど、思い切ってどんどん物を捨てられたら…」
太郎「家が広く使えるし、動きやすくなるし、うはうはやで!」
母親「なあなあ、はよ教えて!」
太郎「いくらで買う?」
母親「間違いなくいいアイデアやな? 惜しみなく捨てられるんやな?」
太郎「そう。教えたら、何くれる?」
母親「その捨てた物、ぜーんぶやるわ!」
太郎「そんなん要らんわ。意味ないやろ。ええわ、教えたげよ。大事なのはな、捨てる基準や。『手を触れて、ときめかない物はことごとく捨てる。』どや?」
母親「触って胸がときめかない物は全部捨てる。うーん、これはよさそう!これを徹底したら、周りがときめく物だらけや。トキメキの人生の始まり!」
太郎「そういうこと!」
母親「待てよ、よう考えたら、やっぱりアカン。」
太郎「なんで?」
母親「だってこの基準でいくと、まず父ちゃんを捨てなアカンくなる!」

〔間使(かんし)〕胸〜腕前側(掌側)を中指に至る心包(しんぽう)経第5穴。
取穴:手首掌側中心と肘の中心を結ぶ線の手首寄り1/4。手首の上、指4本上。
治効:親指で押し残り4本指で支え痛気持ちいい強さで揉むと便が出易くなる。
《作者から一言》整理整頓の要(かなめ)が捨てることなら、健康長寿の必須条件は排泄。老廃物をため込まないことが若さを保つ秘訣です。間使のツボは排便を促し、心地よい便通を導きます。自分で刺激できる便利な場所にあるツボですので、ぜひ日常生活で応用して快便を習慣づけて下さい。(宮本)



上は間使の図

 ●この文書は、当会会員である、宮本年起氏の創作です。

[前のページへ] [次のページへ] [メニューへ戻る]
[トップへ戻る]


社団法人 和歌山県鍼灸マッサージ師会
 〒640-8341  和歌山市黒田97−14
 電話  073-475-7771  FAX   073-474-2241

 メールはこちらまで  info@washinshi.com