漢方つぼ物語(150)
附分(ふぶん)

〈 人生は、楽じゃないけど楽しめる! 〉

 まず君たちに尋ねたい。毎日が楽しいかい? 手を挙げてもらおう、毎日が楽しくって仕方がないっていう人。 あれ、いないの? 恥ずかしがらなくてもいいよ、堂々と手を挙げて。じゃあ、楽しいばっかりじゃないよっていう人。これは多いね。どっちも手を挙げなかったのは、辛いばっかりの毎日なの?
 さて、毎日が楽しいばっかりじゃないとすると、その理由は何だろう? 
 楽しくない理由候補その1、勉強がたいへん。そりゃ中学生は勉強しなきゃいけないよね。遊んでばかりはいられない。
 楽しくない理由候補その2、イヤなやつがいる。それは友だちかい? 先生だったりして。思い切って「この人です!」って言ってみる? ムリだよね。
 楽しくない理由候補その3、自分がイヤ。こっちのほうが深刻だよ。だってイヤなやつとはなるたけ付き合わなきゃいいけど、自分とは一生付き合わなきゃいけないもの。できれば自分のこと、好きになったほうがいいと思うね。

***

 ところでみんな、こんなこと考えたことあるかな? 「人間は何のために生まれてきたんだろう? そして、何のために生きているんだろう?」って。
 これには、いろんな答えがある。ふたつみっつ、紹介しよう。
 まずはこれ、「人は幸せになるために生きているのです」という答え。人は幸せになるために生まれ、幸福をつかむために生きている。「いいね!」って思う人。おっ、前から5列目の君、さっと手を挙げてくれたね。うれしいじゃないか。握手しよう! 自分の気持ちや意見を率直に表現できることは、ステキなことだよ。ここで大切なことは自分だけではなくて、まわりの人も、一人一人が幸せになるために生きているってことだよ。誰も他の人の幸福をじゃまする権利はない。むしろお互いの幸せを応援し合わなきゃ。そうだろ?
 幸せになることは時に困難を伴う。ナチスドイツの時代に、アウシュビッツ収容所で妻と息子を殺され、独り生き延びたヴィクトール・フランクルという人が戦後来日して講演を行ったとき、無言で黒板に「人間→幸福」と書き、その矢印を×印で消し、その下に「生きる意味」と書いたという。つまり「人間→生きる意味→幸福」、人間は生きる意味を自覚して初めて幸福に至ることが可能になる、ということだ。体験の重みを伴う、深い言葉だと思う。
 何のために生きているかについて別の答え、「人はたましいをみがくために生きているのです。」 私は年を取るにつれて、この答えが好きになってきている。一日一日がただ過ぎ去る時間ではなくて、積み重なって値打ちのあるものを作り上げている、そんな人生でありたいと願っているからだと思う。いっとくけど、私は人が死んだ後、どうなるかは分からない。でも人がよりよく生きるために、どんな心構えで生きることが大切かは考えておいた方がいいと思う。
 もう一つ、「人はこの星、この星っていうのは地球のことだよ、この星に百年の修学旅行に来た。」 これ、けっこう良くないかい? 修学旅行に来たのなら、いっぱい見学して帰らなきゃ。ま、どこへ帰るんだか、よく分かんないけどさ。

***

 さて、そろそろ本題に入るよ。楽しく人生を過ごすにはどうしたらいいか?
 人が亡くなる場に、数多く立ち会ったお医者さんが、「人は死ぬ間際に、何を後悔するか」を述べている。1番は「もっと色々なことを経験すれば良かった」。2番は「もっと身体を大事にしておけば良かった」。君たちは若い。死ぬときに後悔しないように、せいぜいたくさんのチャレンジをすればいい。そのためには身体を鍛え、けがや病気をしないようにすることだ。
 私からひとつ、君たちに人生を意義深く過ごすための法則を授けたい。名付けて「ドッジボールの法則」。ドッジボールは知っているよね? 敵の投げたボールに当たったら死ぬ。うまくかわすか、受けとめて後ろの味方に投げ送って生きかえさせる。そこで「ドッジボールの法則」だ。
 「逃げそこねて当たった球は痛いが、真正面で受けとめた球は心地よい。」
 君たちの多くは、高校へ進学を希望していると思う。そのためには入学試験というハードルを越えなくてはいけない。どうせ越えなければならない関門なら、逃げずに真正面から取り組むほうがいい。逃げて逃げおおせるものならそれも一つのやり方かも知れないけど、物事は真正面で受けとめた方が楽しめる。第一、面と向かったほうが相手の顔がよく見えて対処しやすい。どんなことも「どんとこい!」と受けとめて、全力を尽くす。ダメで元々、楽しんだ分だけ丸儲け、そんな気持ちで積極的に人生を切り開いていって欲しいな。
 「毎日が楽しくってしようがないおじさん」のお話はこれでおしまい。熱心に聴いてくれてありがとう! またどこかで会いましょう。
〈2012年1月13日 和歌山市立明和中学校体育館で1年生対象の特別授業〉

〔附分(ふぶん)〕背中に多くのツボを配する最大の経絡・膀胱経の第41穴。
取穴:第2胸椎と第3胸椎の中間の高さで背骨の外側、肩甲骨の内上に取る。
治効:くび肩から背中・腰に至るコリを和らげる。楽しい人生に必須のツボ。

《作者から一言》高校時代の同級生(互いの子供も!)である細田能成君(明和中学校校長)のご厚意で、楽しい経験をさせて頂いた。感謝したい。



上は附分の図

 ●この文書は、当会会員である、宮本年起氏の創作です。

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