漢方つぼ物語(153)
聴会(ちょうえ)

〈和歌山音楽療法研究会総会における記念公演
「 体のリズム、心のメロディー、そしてあなたと私のハーモニー」〉

 今日、お話しさせて頂くテーマは「音楽と健康」です。
 今、人気絶頂の女の子たち、AKB48。そのメンバー中、歌唱力ナンバーワンの評判が高いのは、増田有華(ますだ・ゆか)さん。元気いっぱいの彼女、実は14,5歳の頃まで、からだにいくつも悪性の腫瘍ができて、お医者様から「永くは生きられませんよ」と言われていたのだそうです。有華さんの両親は音楽が大好き。そこで両親は、「どうせ短い命なら、家族3人で楽しく過ごす時間をできるだけ多く持とう」と、お父さんのギターをバックに、親子3人でいろんな歌を歌ったのだそうです。すると、奇跡が起こりました。なんと腫瘍が、一つ残らず消えてしまったのです。音楽を楽しんでいるうち次第に免疫力が高まったのです。そんな経験から、有華さんは音楽の素晴らしさをみんなに伝えるのが自分に与えられた使命と感じて、AKBのメンバー募集に応募し、見事パスしたというわけです。
 実はこの私も中学生時代に、増田有華さんほどドラマチックでないのですが、ある「病気」を音楽の力で克服したことがあります。その病気とは乗物酔い。一定時間以上バスに乗ると、必ず酔って、辛い思いをしておりました。ところがあるとき、永いバス旅の途中、頬をバスの窓ガラスにくっつけて、ひんやりとした感触とバイブレーションを楽しみながら、知っている限りの歌を次々とメドレーで歌い続けるうちに全く乗り物酔いせずに、気がつけば既に目的地に着いてしまっていたのです!
 音楽は私たちの心身に、様々な効果をもたらすことは間違いないようです。音楽の3要素といえばリズムとメロディーとハーモニー。その一つ一つが私達にどのように影響するか、考えてみることにしましょう。

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<P>  まずはリズム。心地よいリズムを耳にすると、自然と体が弾んで踊りたくなるものです。音楽のリズムは、人間の筋肉の伸縮を促し、調える効果があるように思われます。手足を動かす筋肉は言うに及ばず、内臓もまた筋肉の伸び縮みによって機能を発揮しています。心臓然り、胃腸然り、肝臓・腎臓と言った微妙な臓器でも同様です。
 メロディーはどうでしょう? 「懐かしのメロディー」というテレビ番組があります。懐かしいのはやはり「リズム」ではなく「メロディー」の方です。リズムが筋肉の伸縮と同調しているとすれば、音の高低の変化であるメロディーは脳波と同調しているようです。言うまでもなく脳は記憶や感情、そして意思を司るところ。メロディーが心の世界に深く浸透するのは当然かも知れません。脳との関係をさらに突き詰めると、言葉は数字と共に主に左脳が処理し、音楽や美術を鑑賞するのは右脳の働きであると言われています。BGMが流れている喫茶店で会話が弾んでいて、しばしBGMが止まると会話も途切れるということがあります。また、言葉や数字を高度に扱う作業をする場合にBGMが作業効率をアップするのに貢献するといわれます。それは右脳を音楽に預けておくと左脳は言葉や数字に専念できる、ということのようです。
 それでは並列的な音の調和を意味する「ハーモニー」の効用はどこにあるのでしょうか? これは音楽全体の効用と考えるべきであると思うのですが、私は「遺伝子のスイッチ・オン効果」ではないかと考えています。音楽は感動や祈り、愛や共感を盛る器です。音が響き合うとき、あなたと私の魂がふれあう。もともと人間の遺伝子は、有性生殖によって限りない組合せの可能性の中からできあがったもの。音のハーモニーはまさに遺伝子の根源に響き渡り、あなたと私の共感のスイッチを入れるのに違いありません。「スイッチ・音(オン)」というわけです。
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<P>  古事記に記された天岩戸(あまのいわと)の神話で、天照大神(あまてらすおおみかみ)を岩戸から引き出した功労者は、渾身のダンスを披露したアメノウズメだけではありません。そのBGMとも言うべき祝詞(のりと)を詠み上げたアメノコヤネの絶妙の節回しがあったればこそではないでしょうか。音楽は沈みかけた太陽を今ひとたび天空に昇らせるほどの力を持っているのです。
 現代社会は世界的不況と国際緊張に加えて、科学技術への不信と天変地異への恐怖におびえています。今こそ、音楽がその奇跡の力を発揮し、私達が愛と祈りをそこに込めて、尊び合い・支え合い・活かし合う社会を実現すべき時代であると確信するものです。
〈平成24年4月1日 和歌山音楽療法研究会総会における記念公演〉
<P> 〔聴会(ちょうえ)〕目尻を出て側頭から体側へ下りる胆経の2番目のツボ。
取穴:耳の穴の前方に3つ並ぶツボの一番下。口を開くと深く凹むところ。
治効:難聴に効き、音楽を楽しむのを助けるツボ。顔面神経麻痺にも応用。
<P> 《作者から一言》今回の講演を契機に、一つのテーマで学習を深める喜びに目覚めた。アインシュタインの以下の名言を実感した。曰く「学べば学ぶほど、無知を自覚する。無知を自覚すればするほど、学習意欲は高まる。」(宮本)



上は聴会の図

 ●この文書は、当会会員である、宮本年起氏の創作です。

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