漢方つぼ物語(155)
巨りょう(こりょう)

〈 歯磨きハ・ハ・ハ! 〉

術者は人形の母親役。人形抱いて登場。
母親:ねえ、太郎、もしも、もしもよ、朝起きて鏡を見たら、歯が一本もなくなっていたら、どうする?
太郎:そら、びっくりするわ。がっかりする。笑いごとやないで。
母親:そうよね。でもね、歯が一本もないひとができる仕事があります。
太郎:わかった。落語家。落語家のこと、はなしかっていうよ。歯無し家!
母親:じゃあ、歯が一本しかないひとを見たらどう思う?
太郎:はあ?って思う。笑っちゃう。 母親:でも、その人にとっては、笑えないよね。だって一本だと食べものをかみくだけないものね。
太郎:歯がいっぱいあって、はじめて大きく口を開けて笑える。「ハ・ハ・ハ」ってね!
母親:じゃあ、「ハ・ハ・ハ」って笑えるように、歯磨きのお稽古しよう!
まずは歯ブラシの持ち方から。
太郎:しっかり握ったらいいの?
母親:それだと力が入りすぎ。おすすめは、鉛筆を持つように握って、歯と歯ぐきの境目に45°の角度で当てる。
太郎:それから?
母親:そして歯垢(しこう)ポケットから食べかすを掻き出すように、やさしく・ていねいにブラッシング。
太郎:なんかリズムに乗ってきた!
母親:♪(「おもちゃのチャチャチャ」の節で)歯ブラシ ハ・ハ・ハ、歯ブラシ ハ・ハ・ハ、たのしく歯ブラシ ハッハッハ
太郎:♪奥や後ろに右左、残さずキレイにみがきましょ 
母親:♪歯間ブラシも使ったら 歯と歯の間も ピッカピカ
太郎:♪キレイな歯・歯・歯、キレイな歯・歯・歯、楽しく笑おう「はっはっは!」
母親:ところで太郎、歯は全部で何本あるか知ってる?
太郎:おとなと子どもは違うよね。
母親:そうね、子どもの歯は20本、はえかわった大人の歯は、親知らずを入れると32本。
太郎:母ちゃんの顔のシワも32本。
母親:なんでよ!
太郎:かけ算の九九で、シワ32本!
母親:8020(ハチマル・ニイマル)、つまり80歳で自分の歯を20本残している人は表彰してもらえますよ。お近くの保健所へ申請して下さい!
太郎:20歳で歯が80本あったら?
母親:それは歯のお化けです。さて、みなさん、自分の歯でしっかりかむと、いいことがいっぱいありますよ!
太郎:宝くじで3億円あたります。
母親:そうやなくて、認知症の予防になります。
太郎:ひょえ〜、ほんとですか?
母親:総入れ歯の人より認知症になりにくいというデータがあります。
太郎:じゃあ、長生きできる?
母親:「鶴は千年、亀は万年」と長生きで有名な鶴さんと亀さんに、長生きの秘訣を尋ねたら…
太郎:はい、何と答えたの?
母親:「ツルツル飲まずよくカメカメ」
太郎:わあ、できすぎたはなし!
母親:いやいや、「歯無し」やなくて歯のあるおはなし。
太郎:ところで歯は一日に何回みがくといいの?
母親:まずは朝起きたとき、そして夜寝る前。
太郎:一日2回。
母親:食事の後にもみがきましょう。
太郎:お母ちゃん、食事の後の歯磨きは、スグやなくて30分位してからの方がいいんやで。
母親:ええっ! なぜ?
太郎:歯の表面を被(おお)っているエナメル質は、食事の直後は糖質で少し浮き上がっているから。
母親:太郎いつそんな勉強をしたの?
太郎:こないだ、おやつかじりながらテレビみていたら、東京医科歯科大学の先生がそう言うとった。
母親:で、おやつ食べた後、30分してから、ちゃんとはをみがいたんか?
太郎:すっかり忘れた!
母親:そらあかん。おっと、もう一つ大切なことをいうのを忘れていた。
太郎:太郎の小遣い増やしてくれる?
母親:ちゃうちゃう、歯だけやなくて口の中全体をきれいにしましょう。
太郎:口の中が汚れているとどうなるの?
母親:舌の苔(こけ)、これを舌苔(ぜったい)というのやけど、これが肺に入って誤嚥性肺炎を起こすと大変!
太郎:「ぜったい絶命」!
母親:うまいこというな。
太郎:下手によう言わんねん。さあ、太郎も歯と口をきれいにして…
母親:はい、歯と口をきれいにして?
太郎:さわやかなキスをしようっと!
母親:ませたこと、言うものじゃありません!

〔巨りょう(こりょう)〕手足12経絡中、2番目にツボの多い胃経の3番目のツボ。
取穴:真正面を見るときの瞳の中心を通る垂直線と鼻の下を通る水平線の交点。
治効:歯ぐきの血行を促して歯周病や虫歯を予防する効果を期待できるツボ。

《作者から一言》介護予防上、筋力保持と栄養のバランスに並ぶ3大ポイントの一つが「口腔の衛生」。歯と歯ぐき・口中粘膜を健康に保つこと。太郎とお母さんの絶妙のコンビ(?)で「歯磨きネタのスタンダード」というべきものを作ろうとの意気込みで試作したのが今作品。歯科衛生士の山下二美さんのアドバイスを頂戴した。ただ、太郎は実は「入れ歯」なのです!(宮本)



上は巨Bの図/太郎君の入れ歯

 ●この文書は、当会会員である、宮本年起氏の創作です。

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