漢方つぼ物語(161)
陰廉(いんれん)

〈 還暦記念腹話術「おっさん、歳いくつや?」 〉

 私、宮本敏企(本名は宮本「年起」、名前の読みはいずれも「としき」。盲学校の教師、人権講演の講師など公式な場合は「年起」、腹話術やマジックで楽しく演技する場合は「敏企」と使い分けている)は、平成24年7月23日に満60歳、還暦の誕生日を迎えた。9月には高校の同級生と還暦記念の同窓会が予定されている。還暦記念同窓会には服装のお約束ごとがある。「何か一つ赤い物を身につけてくる」
 赤いドレス、赤いシャツは分かりやすいが、赤いハンカチを胸ポケットから少し出すもよし、真っ赤なルビーのブローチで胸元を飾るもよし。こんな服装の約束事をドレスコードと呼ぶのだそうだ。
 そこで、私はどんな赤を纏うか? 一見、どこにも赤を身につけずネズミ色のTシャツで参加するのだ。
「おい宮本、幹事の一人なのにドレスコードを忘れたのか?」
そう幹事仲間にわざと突っ込みを入れさせて、一瞬でネズミ色のTシャツを真っ赤なTシャツに変えると、これはウケル! その名も Dresscode というマジックを手に入れたのだ。
 深紅のTシャツに変身したところで還暦記念の腹話術、太郎との掛け合いは始まる。
太郎「わあ、なんやそのど派手なシャツは!?」
敏企「還暦祝にもろたんや」
太郎「な〜んや、還暦か。」
敏企「しってる?」
太郎「しらん!」
敏企「満60歳のことを還暦っていうんや」
太郎「西城秀樹のことか」
敏企「西城秀樹はまだ還暦にはなってないと思うけど」
太郎「たしかテレビで『秀樹、還暦』って言ってた」
敏企「それは、『秀樹、感激』や。昔のカレーのコマーシャルやがな」
太郎「そいで、還暦になったら、何かええことあるの?」
敏企「さかのぼって十年前、満50歳になったときは嬉しかった」
太郎「なんで50歳がそんなに嬉しかったの?」
敏企「もうこれで若ハゲやない、って思ってうれしかった」
太郎「へんなこと嬉しがるんやな。で、今回の還暦は?」
敏企「これも嬉しいことがあるんよ」
太郎「なんや?」
敏企「ジストシネマで映画が千円で見られるようになる」
太郎「せこいことが嬉しいんやな」
敏企「還暦のスローガンをこしらえた。相手をしてくれるか?」
太郎「なんでもしたげるがな」
敏企「まず『おっさん、歳いくつや?』ってきいてくれるか?」
太郎「60やろ」
敏企「そうやけど、一応聞いてよ!」
太郎「おっさん、歳いくつや?」
敏企「満60、還暦や」
太郎「さっき、聞いたがな」
敏企「ええから『年寄りやな』って言ってよ」
太郎「年寄りやな」
敏企「なんやと!」
太郎「言えと言うから言うたんやん」
敏企「掛け合いのマクラやから、気にせんといて。初めからいくで!」
太郎「おっさん、歳いくつや?」
敏企「満60、還暦や」
太郎「年寄りやな」
敏企「なんやと!年寄りやない、還暦は人生の旬や!」
太郎「ほんとかいな」
敏企「還暦は、喜びの花開くときや」
太郎「ボケの花ちゃうの?」
敏企「これからがホンマの人生や」
太郎「死ぬとき後悔せんように…」
敏企「やりたいことは全部しよう!」
太郎「いまさら気兼ねはいらんがな」
敏企「言いたいことも全部言おう!」
太郎「還暦の花…」
敏企「満開や」
 (「花のついたて」を出してお開き)

〔陰廉(いんれん)〕手足全12経絡のしんがり、足の厥陰肝経の第11穴。
取穴:へその真下にある恥骨の中心を外へ2寸、さらに外下へ2寸おりた処。
治効:太ももの内側のビョーな場所。還暦を迎えて、なお現役を保つツボ!

《作者から一言》子どもの頃、30歳でも「年寄り」に見えた。まさか自分がそんな歳になるとは夢にも思っていなかった。それが60歳、還暦を迎えた。長嶋茂雄さんが60歳の誕生日にインタビューを受けたときの「名言」が残っている。曰く「初めて還暦を迎えました。」 そりゃ、誰だって「初めて」だろう、と聞いた人は皆、大笑いしたが、世の中にはスゴイ人が居るもので、「2度目の還暦をめざして頑張ります」と精進怠りない方がいる。聖路加国際病院の医師・日野原重明先生がその人。平成23年10月4日に満百歳を迎えられ、なお現役医師として日本の医療を引っ張っておられる。「新老人の会」という全国規模の会を主宰され、私も妻と和歌山支部のサポート会員となっている(ちなみに和歌山支部の代表をつとめておられるのは、私の尊敬する和歌山県立医科大学学長・板倉徹先生である)。よし、私も還暦を人生の折り返し点とわきまえて、微力ながら世の中に貢献しよう。まずはツボの本を書こうと思う。タイトルも既に決めた。「楽々ツボの極意」 学生が楽に学べ、臨床家も一般の人も楽しく活用できるツボの解説書だ。やるぞ!(宮本)



上は陰廉の図

 ●この文書は、当会会員である、宮本年起氏の創作です。

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