漢方つぼ物語(175)
腕骨(わんこつ)

〈 創作歌曲「ネアンデルタール 〜智慧と汗と絆〜」 〉

ネアンデルタール人って知ってるかい?
ネアンデルタール人っていうのはね…
遠い昔、僕らの祖先と同じ時代に生きていた、別の人類。

「ネアンデルタール人にゃかなわないね。」
「やつらは腕っぷしが強いから、1対1でケンカしたら勝ち目はないよ。」

ネアンデルタール人はがっちりしてて、とっても力が強かった。

「僕らはケンカじゃかなわない。」「それなら…」
「智慧をしぼろう!」「汗をかこう!」「そして力を…」
「力を合わせよう!」「そうだ絆を…」「絆を結ぼう!」

「石をさ、よおく磨いてとがらせて、これで獲物をとろうじゃないか。」
「いい考えだね。僕は狩りは苦手だけれど、磨くのは得意だ。僕にまかせて!」

「でもさ、いくら頑張っても獲物ってやつは、あるときとないときがあるよね。」
「あるとき!」「わ〜、大盛り上がり!」「ないとき!」「しょぼ〜ん。」
「だったらさ…」「力を合わせて畑を作ろう、田んぼを耕そう。」
「お米を…」「野菜を…」「イモを…」「育てよう!」

こうして僕らのご先祖は 智慧と汗と絆で 文明を築きあげた!
そして…ネアンデルタール人は、いつの間にか滅んでしまった。

でも僕らは今、不安でいっぱい。
東海地震と東南海地震と南海地震が、同時に押し寄せて来たら、どうしよう!
中国と戦争になるんじゃ? 北の国から核のミサイルが飛んで来やしないか?
隕石が原発に落ちて来たら? それから…国家試験、合格しているだろうか?

僕らは忘れていないだろうか。
ネアンデルタール人は滅んだけれど、僕らが生きのびたそのわけを。
静かに胸に手を当てて、今こそみんなで思い出そうよ。

智慧を出し合おう。ともに汗を流そう。そして絆を結びなおそう。
智慧と 汗と そして 絆を! 智慧と 汗と そして 絆を!

〈平成25年3月7日 和歌山県立和歌山盲学校 予餞会(よせんかい)にて〉

《解説》
 ネアンデルタール人も人類に属しますが、私たち人間(=ホモ・サピエンス)の祖先ではありません。かつて同じ時期に地球に生きていた「別の人類」です。ネアンデルタール人は人間に比べて特別大きかったわけではないようですが、筋骨隆々で力が強かったようです。脳の大きさは人間と同等で、頭が悪かったわけではなさそうです。個体として力が強く、互いに力を合わせることに人間ほど熱心でなかったことが、種として存続できなかった理由といえそうです。

〔腕骨(わんこつ)〕手の小指に始まる小腸経の第4穴。手首の関節の辺り。
取穴:小指付け根から手首に至る骨を手首の方へ撫で上げて指の止まる処。
治効:腕の疲労回復に。腕骨を「うでぼね」と読むと腕力・腕前のこと。
ネアンデルタール人は腕力が強かったことに因んで、このツボを選んだ。

《作者からちょっと長い目の一言》 卒業式前日に在校生と教員が卒業生を見送る「お別れ会」である予餞会で、歌うたびに詩も曲も変化するという危なっかしい意欲作を、卒業生へのメッセージとして発表した。本番では腹話術人形の猫のクロとの掛け合いバージョンで歌った。
ところで月日の経つのは早いもの、非常勤講師として和歌山県立和歌山盲学校に勤めて満10年の歳月が流れた。鍼灸マッサージ師を志すコースの1年生の経穴学と3年生の経営学を担当。最初の年度の卒業生の一人が事故で亡くなったのは忘れがたい悲しい想い出だ。
数年前、卒業式後の謝恩会で、「先生の授業は面白かったけど、頭に残ってない。」と言われて奮起、「面白くてためになる」をめざしている。ここ数年で都合6名もの教え子が盲学校の教師を目指してくれたことは誇らしい。毎年、卒業生を送り出す春は一抹の寂しさも感じるものだが、今春、私より20歳年上の非常勤講師最年長の先生が、満80歳を区切りに教職を辞される。この先生のお姿を目にするたびに、自分もまだ20年働ける、と励まして貰っていただけに、残念でならない。
卒業生並びに非常勤“卒業”の先生の今後の人生が健やかで幸多からんことを心から祈るばかりだ。(宮本)



上は腕骨の図/予餞会で熱演

 ●この文書は、当会会員である、宮本年起氏の創作です。

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