漢方つぼ物語(195)
少沢(しょうたく)

〈 シンガー・ソングライター誕生? 〉

 平成26年の年明け早々、自作の歌を歌う“シンガー・ソングライター”としてデビューを遂げた。“デビュー曲”はオリジナルの「ネアンデルタール」。
 “一人ミュージカル”と自称するこの歌が生まれたきっかけは、二つある。
 一つはテレビで目にしたドキュメンタリー番組。そこでネアンデルタール人が取り上げられていた。身体能力が高くて知恵も優れていたネアンデルタール人は、およそ二十万年前に出現し、埋葬を行い、死者に花束を捧げる文化をも備えていたらしいが、二万数千年前に忽然と地上から姿を消した、つまり種(しゅ)としては滅び去ったのだという。重要なのは、人類の直系の祖先ではなく、ある時期に並行して生存していた別の人類であることだ。興味津々である。
 もう一つのきっかけは、映画「レ・ミゼラブル」。全編、出演俳優がその場で歌い、録画・録音したミュージカル映画だ。こんな壮大な音楽巨編を、ちょっとだけ真似てみたいと思った。
 ところでネアンデルタール人はなぜ滅んだのか? なまじ個体としての能力が優れていたがために、力を合わせるという点において、劣るところがあったのではないか。片や人間は、自分たちが弱い生き物であることを十分に自覚し、絆を結び合うことで地球環境の大きな変化をかいくぐって、今に生き残った。テロに戦争、事故や災害など、様々な不安に打ちのめされそうなわれわれ現代の人間は今こそ、ネアンデルタールが滅んだのに人間が生き延びた根源に思いを致すべきだ。一人ミュージカル「ネアンデルタール」は、そう訴える。

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 この歌を、人前で初めて歌ったのは、非常勤講師として勤務する和歌山県立和歌山盲学校の卒業式直前の予餞会(=お別れ会)においてであった。地区公民館審議委員の年度末の懇親会でも披露に及んだ。…さほどの反響はなかった。
 ところが、県のボランティア団体連絡協議会の総会でお話ししたおり、末尾でこれを歌うと手ごたえを得た。県の社会福祉協議会の職員で、つい先ごろまで平成23年の台風12号によって被災した和歌山南部に救援活動に行っていた南出 孝氏が、「感銘しました。被災地域の子らにきかせてやりたい」と言ってくれ、和歌山音楽療法研究会のメンバーで県ボランティア団体連絡協議会会長の北出賀江子さんが、「音楽としてすばらしい」と言ってくださった。さらに、美しい楽器であるチャイムの演奏チームを率いる作曲家・木村純子さんが、「ぜひコラボしたい。さしあたり譜面に起こさせていただきましょう」と申し出て下さった。望外の幸せとはこのことである。
 さらに、講演の機会を賜った国際ワイズメン協会和歌山支部の公開例会で歌ったおりにも、数人の方から過分の賛辞を賜り、そのうちのお一人、岩崎好宏さんから、「ユーチューブに載せて、この歌を世界に発信しましょう」との光栄なご提案を頂いた。

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 平成26年1月4日の午後、岩崎さんを筆頭にビデオカメラ2台と助手お二人を携えた「撮影隊」が拙宅に到着、治療室にて撮影がスタートした。東海 薫さんが歌詞チェックを、鈴木 猛さんは移動時の運転手役を担当してくださった。まずホームグラウンドにて白衣姿で歌った後、和歌山城をバックに県立美術館周辺と和歌浦不老橋で歌った。これら三カ所で撮った映像を巧みに編集、歌詞の字幕表示も加えてインターネット上の動画サイト「ユーチューブ」に載せて下さった。これで歌い手がイケメンで、なおかつもう少し歌が上手であれば、本格派歌手のプロモーションビデオさながらの出来栄えだ。岩崎さんはこれに満足することなく、いろんな方の意見を聞き取って下さり、たとえば和歌山の名所をいくつもロケして観光振興につとてはどうか、ネイティブ・スピーカーの訳詞も添えて文字通り世界に発信しよう等、この動画を改良することに意欲を燃やしてくださる。先に述べた木村先生から譜面も届き、伴奏を付けることも可能になってきた。当初は歌うたびにメロディーが変化し、「常に進化し続けているから」と苦しい言い訳をしていたが、ようやく曲として確立してきた。  ここまできたら紅白歌合戦出場、いや夢はもっと大きくグラミー賞獲得、と大口をたたいたところでハッと我に返った。この歌をこしらえた原点はそんなことではない。国際関係がぎくしゃくし、テロの恐怖におののき、自然災害の危険が迫る現代に、人間が滅び去ることのないようにもう一度絆を結びなおそうと呼び掛けることが本義なのであった。そこに、多くの方が共感してくださり、発信の場が与えられた。生涯を貫くライフワークとして、多くの方々との関わりの中で、この歌を歌い続けようと思う。

〔少沢(しょうたく)〕小腸経は小指に始まり、側頭部に至る。その最初の穴。
取穴:手の太陽小腸経の出発点のツボで、小指の爪の付根角、薬指から遠い方。
治効:臍下丹田、魂の宿るところにつながる、魂を込めて歌うに必須のツボ。

《作者からの一言》岩崎好弘さんはユーチューブ上に野鳥の鳴き声など美しい動画を数多く配信しておられる。ウグイスの鳴き声と同じアカウントから発信して頂いている私の歌「ネアンデルタール」のアドレスは次の通り。
  http://www.youtube.com/watch?v=DTEMGCOvzZ0&sns=em ネアンデルタールの歌、ユーチューブ、でも検索可能です。 (宮本)



上は少沢の図

 ●この文書は、当会会員である、宮本年起氏の創作です。

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