漢方つぼ物語(197)
下極兪(げきょくゆ)

〈 免疫と自律神経(第13回健康セミナー)〉

 みなさん、ようこそお越し下さいました。県民の健康を祈って、お役にたつ情報を提供し、ご希望により、はり・灸・マッサージの体験もしていただける健康セミナーは、一般社団法人 和歌山県鍼灸マッサージ師会が毎年、この時期に開催しています。今回のテーマは「疲れに効くツボ」です。

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 若い時は少々無理をしても一晩ぐっすりと眠れば取れていた疲れが、50歳を過ぎるころから疲れが積み重なって、なかなかスッキリと取れにくくなることが多くなります。これは一体なぜなのでしょう?
 私たちのからだの働きは「自律神経」という神経で自動的に調整されています。自律神経はバリバリ働くための「交感神経」と、リラックスして疲労を回復する「副交感神経」の相反する二つの神経がバランスを取って、いい状態に調節されています。このバランスがうまく取れないと、昼間、仕事がはかどらなかったり、夜、ぐっすり眠れなかったりして疲れが蓄積することになります。
 自律神経の乱れ以外に、疲れの取れにくい原因として「免疫力の低下」を挙げることができます。免疫とは、外敵と戦ったり、疲労物質や老廃物がたまってできた毒素を分解したりする働きです。血液中の白血球とリンパ球がその働きを担っています。免疫が低下すると、疲れがとれにくくなるばかりか、風邪やインフルエンザ、ノロウイルスなどの感染症にかかりやすくなるのです。

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 治りにくい症状の原因の多くは心因性、すなわち心の状態である、との報告が厚生労働省の研究チームからされています。疲れも病気も心の悩みが原因する、というのです。悩みで一番多いのは何だと思いますか? 金銭の悩み? 病気の悩み? いいえ、そうではありません。なんとその90%以上は「人間関係の悩み」だそうです。そこで、悩みを軽くするヒントをお教えしようと思います。
 まずは親子関係の悩みから。皆さん、手の5本の指のうち、真ん中の3本の指を折り曲げて、親指と小指だけをピンと立てて下さい。親指はどちらを向いていますか? 小指はどうでしょう? 親指はまっすぐ小指を向き、小指は外を向いていますよね。親はひたすら子供のことを気にかけているのに、子供の関心はもっぱら外にばかり向いています。親だけがいくらやきもきしても親子の距離は縮まりません。共に過ごす時間をもってお互いに歩み寄ることが大切です。
 次に、「私とあの人ではちっとも意見がかみ合わない。ものの見方がずいぶん違うようだ。」という悩み。この悩みを解決するヒントは、人差し指を目の高さより少し上の位置で、指先を天井に向けてまっすぐ立てて下さい。そして指先を時計の針のまわる方向、つまり右回りにゆっくりまわしながら次第に上に上げていってください。そう、指先を天井に向けたまま、回転の方向は右回りに。こうしていると、UFOが舞い降りてきます。…というのは冗談です。回転の方向はそのままで、今度は指をだんだんと下げていってください。目より下までおろしてきたところで、上から眺めて下さい。指先の回転はどうなっていますか? 右回りにまわしていたはずなのに、あら不思議、左回りに変わっていませんか? 同じ向きにまわっていても、下から見るのと、上から見るのとでは、すっかり逆になっています。同じ物を見ていても、見る位置によって全く違って見える、ということです。時には、意見がかみ合わない相手の位置に自分を置いてみてはいかがでしょう。そうか、この位置からはこのように見えていたのか、と分かるとお互いに歩み寄ることができるのではないでしょうか。

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 さあ、みなさん、ここで一度お立ち下さい。今日、この雨上がりの爽やかな日曜日に、この会場でご一緒するのも何かのご縁です。両横の方と手をつなぎましょう。端っこの方は手をつなげないかと思いますが、手をつないでいるつもりで私の指示通りに動いて下さいね。まず、上を見上げて下さい。上を向いて歩こう、という歌がありましたね。はい、正面を向いてもらいましょう。次は、下を向いて頂きましょう。足元に何かいいもの落ちていないかな、と。さあ、だんだん難しくなりますよ。今度は右足だけをあげて下さい。片足立ちが苦手な方も、今は大丈夫。手を握っていますからね。次に左足をあげて頂きましょう。両足をいっぺんに上げるとひっくり返りますのでご注意くださいね。それでは次に…右手をあげて下さい。…はい、結構です。お座りください。
 自分の左手が左側の人の右手につながっていることに気付いて、自分の右手をあげるより先に、左の人のために左手をさっとあげた方は、周囲への思いやりに満ちた優しい方です。全員の両手がさっとあがるような社会を築きたいですね。それはきっと「疲れを感じない」優しい社会であると思います。
《平成26年3月2日 和歌山ビッグ愛における「第13回健康セミナー」にて》 

〔下極兪(げきょくゆ)〕どの経絡にも所属しないが特効のある「奇穴」の一つ。
取穴:左右の腰骨の最も高い処を結ぶ中央が第4腰椎。その一つ上との間。
治効:免疫力をそこなう大きな原因は「冷え」。特に下腹部の冷えをとるツボ。

《作者からの一言》13年目にして過去最高の来場者を得た。NHKテレビの和歌山ローカル、ラジオの和歌山放送、新聞各紙の報道と天気も味方した。(宮本)



上は下極兪の図

 ●この文書は、当会会員である、宮本年起氏の創作です。

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