漢方つぼ物語(201)
衝門(しょうもん)

〈 「医道の日本」誌に写真入りで掲載! 〉

 東洋医学に関わる者で、「医道の日本」という雑誌の名を知らない人はいない。あと数年で創業80周年を迎える株式会社医道の日本社が出版する月刊誌である。鍼灸マッサージに従事する人々にとって有益な記事満載の誌面が展開される。 
 私もかつては定期購読していたが、和歌山県立和歌山盲学校に非常勤講師として迎えられて以降は「講師控室」として利用させて頂いている図書室で読ませてもらっている。
 毎月、興味を引く特集記事が組まれる。それは直接、臨床に関わるものであったり、治療院のPRの仕方であったり、はたまた新たにこの業界に加わった人たちへのガイダンスであったり、と工夫が凝らされている。また、さまざまな疾患・症状に対する治験記事は、この雑誌の中核をなすものである。私もいつの日か斬新な研究論文を投稿したいものだと、かねてその機会を狙っていた。

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 その医道の日本誌に、思いがけず写真入りで登場することになったきっかけは、同社編集部の記者から、私が副会長をつとめる一般社団法人和歌山県鍼灸マッサージ師会事務局あてに取材申し込みのメールが届き、会長からその対応を任されたことであった。
 それによると、同誌は2014年4月号の特集として、鍼灸マッサージ師のボランティアを取り上げることになったのだが、それに関してリサーチをしていると、和歌山の地方紙の記事で、当会の会員が高齢者施設でボランティアをしていることを知ったので、その件について詳しく聴かせてほしい、という趣旨だった。
 当会の高齢者への鍼灸マッサージボランティアの歴史は長きに亘る。かつては「社団法人」として県から補助金を頂いていたこともあり、県民対象の奉仕活動の一つとして始まったようだ。社団法人の見直しで、公益社団法人か一般社団法人か二者択一を迫られたおり、当会は元々の業団体としての原点に立ち返って一般社団法人を選んだのだが、それでも「伝統ある」このボランティア事業は継続された。医道の日本誌がそこにスポットライトをあててくれることなど夢にも考えていなかったのだが、それは光栄でもあり、また嬉しくもあった。

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 「公平を期するために、原則として毎年違った高齢者施設を訪問することにしています。約10人の会員が意欲的に参加し、40〜50名の皆さんに鍼灸またはマッサージをさせて頂くのです。押し付けにならないよう、希望される方にだけ施術するようにしています。高齢者施設だけでなく、昨年は特に希望があった老人クラブのメンバーの皆さんを、その地区の集会所で治療させていただき、好評でした。それと、私どものボランティアが毎回、好評を博する理由が、もう一つあるのです…。」
 「えっ、それはいったいなんですか?」
 勢い込んで尋ねる記者に、私は少しもったいぶって答えた。
 「私どものメンバーに、芸達者な者がおりまして、一通り鍼灸マッサージのボランティアで身体がほぐれたところで、腹話術・落語・皿回しにマジックのショーをお目にかけて、さらに心までリラックスして頂く、という仕掛けなのです。」
 「それはずいぶん楽しそうですね。」
 「実は…その芸達者な会員とは、なにを隠そう、この私なんですよ!」
 「その演芸ショーの写真など、ございますか? ぜひ送って下さい。」

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 かくして4月初め、取材協力に対する礼状と共に、インクの香り立つような医道の日本誌4月号が届けられた。鮮やかな黄色の表紙に「ボランティアを春から始めよう 鍼灸マッサージ師にできること」という特集記事のタイトル。本文を開くと、アフリカはケニアの無医地区に医療チームの一員として赴き、高温多湿のなか熱中症を患いながら鍼灸ボランティア治療に取り組んだお話や、ヒマラヤのふもとネパールに毎年出かけて現地の鍼灸師と交流、継続して鍼を送る支援をしている鍼灸師の体験談など、スケールの大きな国際ボランティアに交じって、高齢者への当会のボランティア活動の紹介記事が掲載されている。そして実際にボランティア治療をしている様子のスナップと、噺家の衣装をまとい人形の太郎を抱いて嬉々として腹話術を演じている私の写真が、しっかりと添えられていたのだった。

〔衝門(しょうもん)〕消化作用の中心を担う、足の太陰脾経全21穴中第12穴。
取穴:足の付け根内側(鼡径部)、恥骨上縁の高さで大腿動脈の拍動の外側。
治効:加齢により消化器の機能が低下して起こる下腹部の冷えに効くツボ。

《作者からの一言》あこがれの「医道の日本」に、このような形でデビューを果たすことになるとは嬉し恥ずかし、といったところ。鍼灸マッサージの本業と併せての笑顔のボランティアにますます弾みがついた。「笑う門には福来る」、笑門=衝門、という次第。「宮本先生、目立ち過ぎ!」「スミマセン。」(宮本)



上は医道の日本誌面




上は衝門の図

 ●この文書は、当会会員である、宮本年起氏の創作です。

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