漢方つぼ物語(216)
鳩尾(きゅうび)

〈 若返り & 運 〉

宮本:太郎先生、新年おめでとうございます。今年も宜しくお願いします。
太郎:こちらこそ。年の暮れやお正月に、何か愉快なことはあったかな。
宮本:年末の確か12月28日にNHKで興味深い番組を見ましたよ。
太郎:わかった、「おしえて、ガッカイ!」というのじゃないか?
宮本:その通り! 世の中にはいろんなことを研究している学会が多数あります。誰もが知りたい質問を学会に投げかけて解決のヒントを貰おうという番組です。
太郎:最初のクエスチョンは、確か若返りについてだったね。
宮本:「今年残り3日で、1年若返る方法はありますか?」という質問でした。
太郎:血液を若い人の血とすっかり入れかえる方法が紹介されていたね。
宮本:若いネズミと血管をつないだ年寄りネズミの筋肉が若返っていました。
太郎:内臓だって筋肉でできているから、この方法はかなり期待できそうだ。
宮本:個人でできそうな方法が断食。三日間の断食で相当、若返るらしい。口から栄養が入ってこないと、体内の毒素や老廃物の分解が促されるのだとか。
太郎:衣食住を若い時と同じ環境で過ごすと若返ったという実験があったね。
宮本:80歳の人たちが50歳の時を再現した環境で3日間過ごす実験でした。
太郎:同窓会に出席して若やぐのは、アンチエイジング効果が期待できるね。
宮本:あの実験の元になっているのは、ハーバード大学が実施した有名な実験で、50代の人何人かを30年前の環境で1週間合宿させたら間違いなく若返り効果があった、という実験ですよね。
太郎:科学的には若返りはおろか、老化を遅らせることさえ不可能とするのが通説だが、あの実験は唯一、それが実現されたという研究報告だ。
宮本:認知症の進んだお年寄りに、その方の人生で最も輝いていた頃の想い出の品をみせると、目を輝かせて認知症の改善の糸口になることがあるらしい。
太郎:さっそく若い時の環境を再現しようかしらん。
宮本:太郎先生は人形だから、そんなことしなくても大丈夫ですよ。いつまでも変わらずお若い!
太郎:いや、わしだって年をとって、声がしわがれてきた。
宮本:そ、それは太郎先生の責任でないかも…

      ***

宮本:二つ目の課題は「運の良い悪いは科学的に解明できますか?」でした。
太郎:運を取り上げること自体が非科学的、という回答が多い中で、心理学会が一応の結論を出していたね。不安や緊張の強い人は運の良くない人で…
宮本:そう、逆にいつもリラックスしてポジティブ(前向き)な人は強運だと。
太郎:それを裏付ける実験があったね、ほれ、写真の数を数えさせる実験…
宮本:はい、新聞をスタジオのゲストに渡して、掲載されている写真の数を数えさせる。みんな第一面から一生懸命数えて、生真面目に答えを出す。
太郎:ところがそこにはトリックがある!
宮本:そう、第2面の下に広告のように見せかけて、こう書いてある。「正解は51枚。数える必要はありませんよ!」
太郎:これが案外気づかない。一心不乱に写真の数を数えることに専念してる。
宮本:もう一つの仕掛けは「この記事に気づいたと申告するともれなく5万円差し上げます」という広告風書き込み。こうしたラッキーな仕掛けに気づいたのは町でアトランダムに実験を受けた24人中、わずか2人だけだった。
太郎:二十歳代前半の男性の二人連れだったね。友人同士のようだった。
宮本:あなた方二人は運が良いと判定されました、といわれて一人が他方に…
太郎:「この人は今年、ある競技で最優秀選手になった。決勝でようやく出場の機会を得て大活躍、たった一試合で最優秀選手! こんな運のいい人はいない。」
宮本:するといわれた方も相方についてこう言った。「いや、彼のほうが強運。ギャンブルが大嫌いなのに、友人に無理やり競馬場に連れて行かれ、100円だけ、と買った馬券が、なんと百万円の大穴。こんな運のいい男は滅多にいない!」
太郎:写真の数をひたすら数える中で、その記事に気づく余裕があるかないか。
宮本:リラックスしてないとすぐそばの運をつかみ損ねますよ、ということ。
太郎:学校の卒業写真で笑っている人についてのデータがあったね。
宮本:卒業アルバムの写真で笑っている人は、50歳の時に自分の人生を肯定的に振り返っている人が多い、というアメリカのデータが紹介されていたね。
太郎:笑いはリラックスしている証拠だからね。
宮本:では今回の教訓を。
太郎:心をゆったりとして笑顔を絶やさないでいると、若さと運はついてくる!
宮本:この一年、楽しく過ごしましょう!

〔鳩尾(きゅうび)〕からだの前の中心線(=前正中線)を上る任脈の第15穴。
取穴:胸の中心部(左右の肋骨の間)にある胸骨の最下部の出っ張りあたり。
治効:胸のつかえや不安感を取り除き、リラックスした感じをもたらすツボ。

《作者からの一言》年末は患家に求められるままに、大晦日まで治療に励んだ。その慌ただしさの中で、夕食をとりながらふと目にしたテレビ番組がNHKの「おしえて、ガッカイ!」だった。興味津々の内容の概要を取り上げた。(宮本)



上は鳩尾の図

 ●この文書は、当会会員である、宮本年起氏の創作です。

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