漢方つぼ物語(222)
建里(けんり)

〈 蓮乗寺こども花まつり 〉

 和歌山県紀の川市の浄土真宗の寺・蓮乗寺のご住職の奥様から、4月18日土曜日の午前に催される「こども花まつり」で、30分程度、腹話術を演じてもらえないか、とのご依頼があったのは、平成27年3月中旬のことだった。鷺の森別院から教えて頂いて、とのことだった。鷺の森別院には昨年12月に「こども報恩講」にお呼びいただいた。光栄なお申し出なので二つ返事でお引受けしようとしたが、はっ、とあることに気が付いた。4月から盲学校理療科を卒業して鍼灸マッサージの国家試験にパスできていない人を対象とする予備校に週二回、月曜日と土曜日の午前中に講師をつとめる約束をしていたからだ。いったんはお断りしたが、いかにも残念に思って予備校に問い合わせると、4月20日からで結構、ということであったので花まつりに行けることになった。
 「18日、行かせていただけます。花まつりですから、腹話術でお釈迦様のお話をすればよろしいのですね。」
 「いえ、地域行事のようになっていますので、特に宗教色を出していただかなくても結構です。」
 そんなやり取りをしたが、後に、蓮乗寺さんから再度お電話があり、
 「先日の件ですが、住職が、やはりお釈迦様のお話をしていただければ有難いと…」
 「はい、そうおっしゃらなくてもそうするつもりでした(笑)。」

***

敏企:みなさん、こども花まつりにようこそ! みんなのお友だちを連れてきたよ。太郎君と、妹の花子ちゃんです。さあ、二人ともあいさつしよう!
太郎:こんちわ! あれ? いいとこへ連れてったげるって言って、ここどこ?
花子:ここはお寺じゃない? ほら、あみだ様が立ってらっしゃるもの。
敏企:花子ちゃん、よくわかったね。ここは蓮乗寺というお寺です。
太郎:太郎はユニバーサル・スタジオ・ジャパンのほうがよかった!
花子:花子は東京ディズニーランドに行きたかったわ!
敏企:あのね、お寺にはなんでもあるんだよ。では二人とも、夢をかなえてあげよう! まずはユニバーサル・スタジオからのお客様を出すよ。(メガネとカツラをつけて)はーい、イギリスの魔法使いの少年、ハリー・ポッターだよ!
太郎:ええっ!? なんか、ちょっと違う!
敏企:あはは、ばれた? 実は今日は週末で、ハリー・ポッターは忙しくて来てもらえなかった。私はハリー・ポッターのおじさん、ハラ―・ポッチャリだ。でも、魔法の力はすごいんだよ!(いくつかマジックをして見せる)次は花子ちゃんの夢を叶えよう。東京ディズニーランドからアラジンの魔法のランプの大男、ジーニーさんの登場だよ!
ジーニー:さあ、願ことはなんだい? 何でも叶えるよ。なにがほしい? どこへ行きたい? なにになりたい? えんりょなく言ってごらん。ほら、札束だ!(札束から色とりどりのテープが出てくる)
敏企:どうだい? これでユニバとディズニーランド、両方行った気分になったんじゃないか? でも今日はこれでは終わらないよ。もうひとり、ハリー・ポッターやアラジンの魔法のランプの大男のように魔法を使うわけではないけれど、どうしたらみんなが幸せになれるかを教えてくれる、すばらしいゲストが出てきます。おまたせしました。今日のメインゲスト、お出ましください。
赤ちゃん:ほぎゃあ!
敏企:赤ちゃんがでてきましたね。でもこの赤ちゃん、ただの赤ん坊ではありません。生まれたとたんに三歩歩いて「天上天下(てんげ)唯我独尊!」とおっしゃった、そうです。天の上にも天の下にも、たった一つしかないこの命が尊い、そういう意味です。大きくなってさまざまな修行の末に悟りを開いて、人が幸せに生きる方法を教えてくれたこの人の名前をおしゃか様といいます。今日の催し「こども花まつり」は、お釈迦様のお誕生をお祝いするお祭りです。
花子:太郎兄ちゃん、おしゃかさまに、なにか悩みごとを相談したら?
太郎:時々ケンカをしてしまうんだけど、仲良くするにはどうしたらいいの?
敏企:(木の棒の端に赤と緑の人形を垂らしたマジックの道具を見せて)これをごらん。赤を引っ張ると、あら不思議、みどりが持ち上がる。目に見えない糸で結ばれているんだね。人間も一緒。「倶会一処(くえいっしょ)」って言って、亡くなった人ともみんなまたお浄土で会える。
花子:「くえいっしょ」って、ごはんをいっしょに「くえ、くえ」かと思ってた。
太郎:そう、てっきり、おいしいクエ鍋をみんなで食おう、っていう話かと。
敏企:お釈迦様は、よく見て、よく考えて、そしてよい言葉を口にしなさい、って教えて下さいます。そうすればきっと、お友だちとも仲良くなれるよ!
太郎・花子:はあい、よくわかりました! 南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。

〔建里(けんり)〕腹・胸の中心線(前正中線)を上行する任脈11番目の穴。
取穴:おヘソの上3寸。すぐ上の「中かん」・「上かん」のツボ、すぐ下の「下かん」のツボとともに胃に効く。
 治効:元気な成長の第一条件は規則正しい食事。胃の働きを調えるツボです。

《作者からの一言》この後、子らは綿菓子やゲームに興じていました。(宮本)



上は建里の図

 ●この文書は、当会会員である、宮本年起氏の創作です。

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