漢方つぼ物語(233)
犢鼻(とくび)

〈 乙姫の告白 〉

敏企「ご紹介します。皆様ご存知、おとぎ話の主人公、乙姫&かぐや姫!」
乙姫「姉の乙姫やでえ。」
かぐや姫「妹のかぐや姫やがな」
二人「♪うちら、ふたごのきょうだいや♪」
敏企「双子だけあって息がぴったり、まるで一人が歌っているみたい!」
かぐ「ねえ、お姉ちゃん。今日はそろそろ例のこと、お話したらどうなん?」
乙姫「そやなあ、とっくに時効やろからな」
敏企「いきなり乙姫様から、とっておきの打ち明け話があるようです」
かぐ「太郎はんが竜宮へ招待されたホントのわけを知ってるか?」
敏企「子供にいじめられてた子亀を助けたお礼に招待されたんでしょ?」
二人「ちゃうちゃう。ぜ〜んぜん、ちゃう」
敏企「この際、洗いざらいおきかせ下さい、浦島太郎の物語の真実を!」
乙姫「太郎はんは腕のええ漁師、私らの天敵や。消えて貰おと思たんや」
敏企「な、なんと。乙姫さんは浦島太郎を亡き者とするため竜宮へおびき寄せたと。ここからはお姉ちゃんにじっくりと事の真相をお聞きしますので、すみませんが、かぐや姫さんは、トランクへ戻ってくれますか?」
かぐ「勝手なやっちゃな。 ほな、お先。どちらはんも、ごゆっくり〜」
乙姫「太郎はんを、フグの毒で、ふぐ(=すぐ)暗殺する手筈やった」
敏企「それやのに、なんで浦島太郎は死なずに済んだんですか?」
乙姫「そこ、きくか?」
敏企「きかいでかいな! ♪ちょっと待ってちょっと待って、乙姫さん、
 なんで太郎はぶじでしたん?」
乙姫「♪竜宮の、入り口で…
敏企「♪はっ、どしたどうした乙姫さん?」
乙姫「♪筋肉隆々で優しそう、顔だち凛々しい太郎はんに、会うたとき…」
敏企「♪あ、どしたどうした乙姫さん」
乙姫「ほ・れ・た・ん・や」
敏企「えっ? 乙姫さん、今なんて?」
乙姫「惚れたんやって言うてるやないかい、繰り返し言わせなはんな!」
敏企「皆さん、おききになりましたか? 今、明かされる浦島太郎の物語に隠された真実。消さんがために竜宮城におびき寄せておきながら、その浦島に、なんと乙姫様が一目ぼれ!」
乙姫「でっかい声で言いよすな、はずかしやろ。で、楽しい生活が続いた。」
敏企「そやけど浦島はんは父母が恋しくなって、『帰りたい』と言い出す」
乙姫「いっそこの人と一緒になって地上で暮らそうかと思たんやけど。」
敏企「そうしたら、このお話、めでたしめでたし、で終わったのに…」
乙姫「竜宮のあとつぎもないし、、そうゆうわけにいかんかったんよ。」
敏企「そこで、浦島太郎に玉手箱を手渡す!」
乙姫「ほかの女に太郎はんを、取られとうなかったんや。おじんになったら、相手にする女はおらんやろ?」
敏企「『ぜったい開けたらあきまへんで!』っておっしゃったわけは?」
乙姫「惚れた人に、恨まれとうなかったんや。…勝手な理屈やけどな。」
敏企「さて皆さん、ここに一つの箱があります。浦島太郎に手渡したのと同じ玉手箱であると思われます。これより浦島太郎・最後の謎に迫ります。皆さん、事と次第によりましては、皆様方にも累が及ぶやも知れませんが、ご覚悟はよろしいですか? (おもむろに箱を開ける)」
敏企「(白い煙が立ち上り、敏企が消え、赤ちゃんになって)ほぎゃあ!」

***

 昭和57年4月、私は創立まもない和歌山県腹話術協会のメンバーに加わった。そして、子どもの頃からあこがれていたプロ腹話術師・川上のぼるさんの指導を受ける光栄に浴した。
 そして平成27年5月、私はその腹話術協会の5代目の会長に就任した。発会以来、毎年欠かさず開催している「腹話術発表会発」は今回第35回。数年前から「腹話術の祭典」と名称を一新、和歌山県民文化会館で催すべくリハーサルを重ねている。
 「乙姫の告白」のストーリーは、今から47年前、高校1年生のときに文化祭の舞台で披露して喝采を博したもの。今回、会長としての初舞台に際して、満を持して腹話術の出し物としてリニューアルした。
 ところで、玉手箱を開いたとたんに私が赤ん坊になるラストシーン、発煙筒を使おうか(これは火が出るのでダメ)、ドライアイスで行こうか(タイミングが難しい)、あれこれ迷った挙句、メリケン粉に勢いよく息を吹くことにした。

〔犢鼻(とくび)〕顔面から胸・腹を下る足の陽明胃経45穴中の35番目のツボ。
取穴:膝を軽く曲げたとき、膝のお皿(=膝蓋骨)の外下方にできるくぼみ。
治効:老化現象の代表格、膝関節痛にきく。じじいとなった浦島太郎に捧げる。
《作者からの一言》腹話術の祭典は平成27年10月31日午後1時開幕(宮本)



上は犢鼻の図/腹話術の祭典チケット

 ●この文書は、当会会員である、宮本年起氏の創作です。

[前のページへ] [次のページへ] [メニューへ戻る]
[トップへ戻る]


社団法人 和歌山県鍼灸マッサージ師会
 〒640-8341  和歌山市黒田97−14
 電話  073-475-7771  FAX   073-474-2241

 メールはこちらまで  info@washinshi.com