漢方つぼ物語(237)
太渓(たいけい)

〈 新春クイズ 〉

 新年おめでとうございます。今年こそ争いのない、良い年にしたいものです。
 さて、私はテレビのクイズ番組が好きです。いささか得意でもあります。
 そんな私の自慢の鼻をへし折る事態が起きました! ○×式、5問セットのクイズに、あろうことか全問不正解してしまったのです。あてずっぽうで答えても、確率的には2,3問正解できるはずなのに、です。さあ皆さん、新しい年の運だめし、挑戦してみませんか。
クイズの質問内容は次の通りです。

 問題。次の5項目の数値は、ここ10年で増加したか、それとも減少したか。
 @東京都の人口 A飼い犬の数 B女性の喫煙率 C納豆生産量 D離婚件数

 日本の人口は少子化で減る一方だから@の東京の人口だって例外ではない、当然ダウンでしょう。
 ペットブームでA飼い犬の数はますます増加の一途に違いない、アップで決まり!
 男子の喫煙率は減ってもB女性の喫煙率はアップ。草食男子に肉食女子ならぬ禁煙男子に喫煙女子の構図になってるんじゃないか。
 健康ブームでC納豆生産量はアップ。必須アミノ酸がすべてそろった畑のお肉・大豆をさらに発酵させた健康食品の生産量が減少するなんてありえない。
 結婚3組に1組以上が別れるという時代だからD離婚件数も当然、アップ…。
 はいそれ、私と同じ答えです。全問不正解!
 解説しましょう。
 @東京の人口は増え続けています。ここ30年で300万人の増加。首都一極集中がなおも進行中です。私の娘も東京の大学に進学、今春、東京で就職が決まっていて、和歌山に帰ってくる気はなさそうです。かくして地方の若者はどんどん大都会・東京に吸い込まれていくのです。
東京都は47都道府県中、人口増加率トップ。転入が多いのです。ちなみに人口増加2番目は沖縄県。沖縄県は出生率が断トツです。地域の人のつながりが密なため子育てがしやすいことが理由の一つ。もう一つの理由は、男子に跡を継がせる意識が今なお強いため男の子が生まれるまで子供を産む。よって出生率が増えるのだそうです。
 A高齢化で犬を散歩させてやれなくなり、またはマンション住まいで犬の飼えない人が増えて、飼い犬は減っているのだそうです。散歩させなくてよい猫は増えているらしいのですが。
 Bたばこの大幅値上げ以降、男女を問わずすべての年代で喫煙率は減っているのだそうです。煙たがれ、財布は直撃され、愛煙家に厳しい時代です。
 Cパン食が増え、お米の消費が年々減るに伴って、納豆の消費量もダウン。白いご飯に納豆と味噌汁の朝食は絶滅危惧種?
 D平成26年の婚姻件数は6万4千件で前年比1万7千件(2.5%)の減少、同じく離婚件数は2万2千件で前年比9千件(5%)の減。
離婚件数が減少しているのは、婚姻件数自体が減っているからです。また婚姻年齢が高くなっているのに伴い、離婚率はむしろ減っています。

 全問不正解に打ちのめされながらも、私は一つの教訓を得ました。それは、物事の変化には決して一つだけでなく、幾つもの要因が関わっている、ということです。時代の変化を読み解くには、「複眼の思考」が必要なのでしょう。

***

 では締めくくりに、最も新春にふさわしいクイズをお贈りしましょう。
春に先駆けて咲く福寿草の花についての設問です。この花の別名は「ガンジツソウ(元日草)」。その名の通り、1月1日の誕生花です。実はこの花、花としては、大きな欠陥があります。虫媒花、すなわち虫に飛んできてもらって、おしべからめしべへ受粉することで繁殖しなければならないのにもかかわらず、福寿草の花は、蜜を作ることができないのです。それなら、とびきり香りが良いかというと、さして芳香をまき散らしているわけでもないのです。そなのに、あら不思議、福寿草の花には、たくさんの虫が集まってきます。さて、それはどうしてでしょうか?

 …正解を発表します。福寿草はひまわりと同じく、太陽に向かって咲く花です。そのため、花があったかいのです。虫たちは春まだ浅き早春の冷気の中、まるでホットカーペットで足を温めるように、福寿草の花に寄ってくるというわけです。

 さあ、私たちも、寒さに耐えて氷を突き破り咲く福寿草の花のように、逞しく日々を過ごして参りましょう。そして慕い寄る人々には温かく接することのできる人間でありたいと思います。

 世界情勢は不穏な動きを見せています。イスラミック・ステートとその同調者たちの過激なテロはとどまるところを知りません。天災への不安もあります。それでも新春の太陽は、私たちの輝かしい未来を照らしてくれています。

〔太渓(たいけい)〕老化と冷えに関わりの深い足の少陰腎経を代表するツボ。
 取穴:内くるぶしのてっぺん(内果尖)とアキレス腱との間のくぼんだところ。
 治効:冷えは血液を滞らせ、免疫力を低下させる元凶。冷えを克服するツボ。
《作者からの一言》 新潟県鍼灸マッサージ師会の山本登会長様よりお電話を頂きました。会報新年号への寄稿の依頼です。光栄なことと直ちに書き上げたのが今回のお話です。本年のあすなろ読者の皆様のご健勝をお祈りします。(宮本)



上は太渓の図/雪の中に咲く福寿草

 ●この文書は、当会会員である、宮本年起氏の創作です。

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