漢方つぼ物語(238)
支溝(しこう)

〈 創作腹話術&落語 〉

     その1 腹話術:妖怪と人魚
敏企「この世で知らないことない、Dr.ヤブコージ・チョースケ!」
超助「いやあ、照れるね。」
敏企「ところで今日は何について語っていただきましょうか?」
超助「♪ゲ、ゲ、ゲゲゲのゲ、みんなで歌おうゲゲゲのゲ♪」
敏企「いきなりゲゲゲの鬼太郎のテーマソング。今日のテーマは妖怪?」
超助「先日亡くなった水木しげるさんとは、オレ・オマエの仲だった。」
敏企「それはすごいです。」
超助「水木さんは自分のことをオレといい、私のことをオマエという。」
敏企「そういうのは、オレ・オマエの仲とは言いません。」
超助「実は水木センセが亡くなった日に、一反木綿の妖怪をみかけた!」
敏企「一反木綿といえば、さらしのようなひらひらした妖怪ですね。」
超助「そう、それが空中を舞っていた。そしてそのうしろを…」
敏企「また別の妖怪が追いかけていたのですか?」
超助「じいさんが『わしのふんどしを捕まえてくれ〜』と追いかけていた」
敏企「風で飛ばされたふんどしを、おじいちゃんが追いかけていただけ?」
超助「話は変わるが、人魚の伝説があるな。」
敏企「人魚姫の物語。我が国でも、各地に人魚のミイラが残っています。」
超助「人魚の上半身はたいてい女性。男の人魚はないのかと調べてみた。」
敏企「もしかして、あるんですか、男の人魚も?」
超助「男の場合は顔だけが魚で、胴体から下は人間ということになる。」
敏企「顔だけが魚? それって、半魚人ではないですか?」
超助「そういうこと。人魚の夫は半魚人。」
敏企「人魚と半魚人のカップルは何を仕事にしていきているのですか?」
超助「いい質問。あててみぃ?」
敏企「人魚は歌手。半魚人は漁師かな?」
超助「ほぼ正解。人魚は歌い手で正解。半魚人のほうは、漁師もおるが、意外なことに田んぼや畑も耕しておることがわかった。」
敏企「へ〜、漁師さんと田畑を耕している人が半々ですか。」
超助「そう。半魚人だけに、半農半ギョ!」

***

     その2 創作落語:お尻がかゆい
 年明け早々、診療室に与太郎が飛び込んでまいりました。
「与太郎、どうした? お餅の食べ過ぎか? それともおとその飲み過ぎかい?」
「食べ過ぎでも飲み過ぎでもないです。とにかく、かゆいのなんのって!」
「ほう、いってえどこがかゆいんだい? 手かい? 足かい? でぼちんかい?」
「ここに出していいですか?」
「だしてごらんなさいよ。現物を見ないことにゃあ、わからねえ。」
 すると与太郎、いきなりサルマタをずりおろしてお尻をほうりだしました。
「わっ、かゆいのはケツかい。こりゃ驚いたね、猿の尻みたいにまっかっか!」
 いくら今年が申年だからって、新年早々こんなになっちゃってはたまりません。
「じゃあ、まずは胃カメラを飲んでもらおう。」
「ちょ、ちょっと先生、ケツがかゆいのと胃袋が関係あるんですか?」
「口から胃腸を経て尻の穴までがひとつながりだ、大いに関係あらアナ」
「胃にはピロリ菌ってのが住んでる場合があるらしいですね?」
「そうとも、胃潰瘍・胃がんはピロリ菌、食べ過ぎ飲み過ぎはペロリ菌ってなもんよ。カエルが住んでることもあるぞ」
「へええ、胃袋にカエルですか?」
「昔から井の中の蛙、っていうだろが。…胃は異状なし。次は胸部レントゲン!」
「マジすかあ、いくらなんでもケツのかゆみに肺は関係ないんじゃないすか?」
「漢方の理論では皮膚と呼吸器は密接な関係がある。少し前まで肺病は死に病とされていた。肺病イコール肺結核、肺でケツ掻(か)く病(やまい)!」
「先生、それ、ただのオヤジギャグじゃない。胸部レントゲンの結果は?」
「おお、大丈夫。となると残る可能性はチョウナイサイキンということになる。」
「先生、それなら心当たりが。年明けからご近所が何軒も空き巣に狙われた。」
「なんじゃ、それは?」
「町内の最近の出来事。」
「違う、全然違う。わしの言ったのは『腸内細菌』、腸の中のバクテリアのバランス。うむ、これもわるくない。あんた、インキンタムシは患ってないか?」
「それ、昔から患っています。」
「それが尻まで広がっただけ。これをお付け、♪キンカン塗ってまた塗って!」

〔支溝(しこう)〕大腸経・小腸経間の三焦経の行気(=気の通り)を促すツボ。
 取穴:手首甲側ほぼ中央にある陽池のツボを肘に向かって3寸上ったところ。
 治効:大腸・小腸の働きを調えて、皮膚のトラブルまで改善してくれるツボ。
《作者からの一言》腸内細菌は約百兆個、体細胞の総数を上回るという。(宮本)



上は支溝の図/スフィンクス

 ●この文書は、当会会員である、宮本年起氏の創作です。

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