漢方つぼ物語(241)
本神(ほんじん)

〈 パントマイム 〉

 皆さんにとっておきの健康法を伝授いたしましょう。いつでもどこでも実践できて、お金も道具も必要ない。脳を活性化して、おまけに極めればこれを仕事にして裕福な暮らしをすることも夢でない。言葉の通じない国を無銭旅行することも可能…。
 おっとちょっと先走りし過ぎました。「健康法」という原点に戻しましょう。それは右脳を活性化する健康法なのです。なぜ右脳の働きが良くなるか? 左脳が言葉や数字を操るのが得意なのに対して、右脳はことばを超えたイメージを処理するのが得意な脳です。何もないのに、まるであるかのようにイメージするとき、右脳は活発に動き始めるのです。
そして右脳の動きが盛んになると、免疫力が高まり、病気がなおりやすくなったり、そもそも病気にかかりにくくなったりするのです。
 もうお気づきでしょうか? お教えするのはパントマイム。日本語では無言劇とか黙劇(もくげき)と訳される、言葉を使わず身振りだけで表現する舞台芸術です。

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 まずは皆さん、手の中に野球のボールを持ってください。そんなもの、どこにあるのだって言わないでください。これから学ぶのはパントマイム、ないものをあるかのように演じるのがパントマイムなのですから。
重さはどれくらいで、大きさはこんなもんかな、あ、それはちょっと大きすぎませんか? それだとソフトボールの大きさじゃないでしょうか。ボールの形に五本の指を添わせてください。いいですね! 皆さんお一人お一人の手の中に、はっきりと野球のボールが見えてまいりました。
 それでは次に、手の中のボールを上に投げてみましょう。30pほどでいいです。手首のスナップを使って、真上に上げて下さい。このとき重要なのは手と指の動き、そして目線。目でボールの動きを追ってくださいね。落ちてきたボールを受け止めましょう。おお、ボールの重みで少し手首がしなりましたね。芸が細かい。たいへんよくできました。
 こんどはもっともっと高くボールを投げあげてください。そうですね、1mくらい、いやもっと高く上げましょうか。いっそ天井に届くくらい。そう、手首のスナップだけでは足りません。腕全体を振るようにしてみましょう。目はボールを追ってください。あ、落ちてきました。受け止めて下さい。
皆さん、ボールをずいぶん正確に真上に上げたのですね、同じところに落ちてきましたね。普通そうはいかないのではありませんか。高く上げると投げたところとは少しずれて落ちてきませんか。目でボールを追いながら自分の体を少し落下地点に移動して、さらには勢いよく落ちてきたボールを下半身のクッションを効かせて受け止める。そう、膝を少し曲げるようにして。
エンディングは右手に受け止めたボールに、さりげなく左の掌を添えましょう。するとボールの形と大きさが見えてきますよね。

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 パントマイム第1章「野球のボールを投げあげる」は、皆さん合格です。
 さて、皆さんの前のテーブルの上に湯飲みやコーヒーカップが置かれていますが、ちょっとどけて頂けますか。
ではそのテーブルの上に左右の掌を置いて頂きましょう。皆さんは度の進んだ老眼でメガネがないと近くが見えません。ところが老眼鏡をテーブルの上に置いて見失っています。手探りで探します。両手を掌下向けでペタッとテーブルの上に置いて下さい。右手と左手の間隔を少し開けて。
まずは左手を右手に近づけましょう。次に右手を右に。左手をまた右手に近づける。ここにもメガネはないなあ。こんどは右手を向こう側にペタッ。左手がそれを追いかけるようにペタッ。ここにもないので左手を左側に移動してペタッと置こうとしたところに「あ、あった!」見つけたメガネをかけて、「ああよく見える」。
 ここまでで、テーブルにペタッと置いては浮かせる動作と、それに伴う手首や指の自然な動きを実感できたと思います。
パントマイムはこれからです。もう一度左右の掌をテーブルに置いて下さい。
不思議なことにその掌にテーブルが張り付きます。張り付いたテーブルをそのまま90度身体の正面に持ち上げてください。テーブルは前方の壁に早変わりしました。
 さっき手探りでメガネを探した要領で、左右の掌を移動しましょう。これがパントマイムの定番「見えない壁」です!

 パントマイム入門、いかがでしたか。先日、いいむろなおきさんというプロのパントマイムの先生に教えて頂いたばかりの内容を、右脳活性化による免疫力増強の健康法としてご紹介させていただきました。
 (平成28年2月19日 和歌山市砂山地区ふれあい食事会にて)

〔本神(ほんじん)〕慢性的な心身の疲労を癒す胆経44穴中13番目のツボ。
 取穴:髪の毛の前方生え際を5分入り中心(=正中線)から3寸外方のところ。
 治効:脳の血流が滞る大きな原因である後頭部の凝りを緩める効果のあるツボ。
《作者からの一言》写真は、いいむろ先生に特訓を受けているところ。(宮本)



上は本神の図/いいむろ先生と筆者

 ●この文書は、当会会員である、宮本年起氏の創作です。

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