漢方つぼ物語(244)
上かん(じょうかん)

〈 インド紀行三部作 その2「インド旅行ア・ラ・カルト」 〉

短歌 ガンジス河 二首(ベナレスにて)
 ガンジスは母なる河よ 陽昇れば 生気を得んと沐浴をする
 ガンジスは母なる河よ 陽の没(い)れば 炎と花で感謝を祀り


詩 「象のタクシー」(アンベール城にて)

 乗り物としては これほど乗り心地の悪いものはない
 これに匹敵するものと言えば 嵐の中の釣り船くらいだ
 しかしながら エンターテインメントとして眺めると
 これほど愛嬌のあるものは稀だろう
 顔じゅうカラフルな化粧を施して のっしのっしと坂を登る
 運転手も陽気だ
 名前を尋ねているのに 象の名前をこたえる能天気
 昔の王様も 象に乗って 登城されたとか
 王様気分を味あわせてくれて ありがとよ
 そう礼を言ったら 象のやつ
 よほどうれしかったのだろう
 その長い鼻を 空いっぱいにかかげて
 頭からシャワーを 浴びせやがった


エピソード 「カーマ・スートラ」(デリーにて)

 世界遺産の古い建物に、模様として男女の絡む図柄が施されている。ガイド が「ご存知でしょうか、日本語ではシジュウハッテ?」と尋ねる。娘があっちを向いているのを良いことに、私は面白がってこう返す。「もちろん!私は47手までマスターしていますよ。47手目を試したおりにできたのがこの娘です。」
後できいたら、娘はちゃんときいていた! 土産物屋にインド最古の性の経典「カーマ・スートラ図解」があったので、財布のひもを握っている娘に「これ、買うて!」と頼んだが「そんなしょうもないもの買ったら、母さんに叱られるよ」と言って取り合ってくれなかった。家に帰ってから妻に、かくかくしかじかと、その話をしたら、「あら、ワタシ、そんなん、見たかったわあ」やって!


腹話術 「インドへ行ってきたよ!」

 敏企:インドへ行ったなあ。
 ふーちゃん:カレーが出たなあ。
 敏企:うん、毎日、毎食、カレーが出たなあ。
 ふー:細長いご飯やったなあ。日本みたいにふっくらしたご飯はなかった。
 敏企:それと、具のないお好み焼きみたいなの、あれ、なんやったかなあ?
 ふー:それは「ナン」でしょ!
 敏企:インドの地のひとたちは手を使ってカレーを食べてたなあ。
 ふー:ふーちゃんもやってみようかと思たけど、ちょっと抵抗があったわ。
 敏企:そうやな。ワイルドな感じで、やったらくせになりそうやけどな。
 ふー:寝台列車のチケット買うのに時間がかかって、乗るのに急かされたな。
 敏企:心臓が飛び出るかと思うくらい走ったなあ。
 ふー:その割には、寝台列車が着くの、えらい遅れたなあ。
 敏企:そうや、夜中の11時半にデリー駅を出発して、翌朝7時半に着く予定が、結局、ベナレスの駅に着いたのは10時半過ぎ。インドではその程度の遅れは、しょっちゅうらしい。
 ふー:始発電車がえらい時間通りきたなあと思うたら
 敏企:ふんふん
 ふー:きのうの最終電車やったり。
 敏企:そんなあほな。それから本場の先生にヨガを教えてもろたなあ。
 ふー:ヨガで大事なのは呼吸法、「息の仕方が大切」ってセンセが言うてた。
 ふー:はいてはいてはいてはいて くだしてくだしてくだしてくだして
 敏企:それはちょっと変わった呼吸法やな?
 ふー:インド初心者が必ず経験する、おなかこわして、あげくだし!
 敏企:よーゆわんわー

〔上かん(じょうかん)〕身体正面の中心線を上る任脈24穴中の13番目のツボ。
 取穴:へそと胸の骨(=胸骨)本体の中点にある中?(ちゅうかん)の1寸上。
 治効:吐き気、胃炎また消化不良。胃の調子を整え下痢や嘔吐を予防するツボ。
《作者からの一言》娘も私もインド旅行の半ばで激しい嘔吐・下痢に見舞われた。毎食の本場インドカレーに嫌気がさして「危険ななまもの」、生野菜や果物に手を出したためと思われる。娘は玉子カレーの中の半熟卵がよくなかった、という。苦しい体験ではあったが、一刻も早く異物を体外に排出しようという反応は、からだを守る仕組みの表れでもあると思った。(宮本)



上は上かんの図/ガンジスの朝

 ●この文書は、当会会員である、宮本年起氏の創作です。

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