漢方つぼ物語(256)
  魂門(こんもん)  

〈 ケアマインド授業2016 その1 レジュメ〉

     ダウン症について

               日本ダウン症協会和歌山県支部会員 宮本敏企

1. ダウン症候群は受精の時に決定される先天的染色体異常です。22対の染色体中、21番目の染色体が3つあるのです。
2. しばしば合併症をもって生まれます。私の長女・園子(1985年1月5日生まれ)の場合は動脈管開存による肺高血圧症があり、1歳4ヶ月の時、開胸手術をしました。
3. 心身の発達は遅れがちです。知的障害を伴うことが多く、平均的IQはおよそ50であると言われています(健常者の平均値を100として)。
4. ダウン症候群は比較的早く発見されます。私の娘の場合は出生直後、哺乳力(お乳を吸う力)が弱いことから、産院の医師に染色体検査を受けるよう勧められました。
5. 染色体検査が陽性であったことからダウン症候群であることの確定診断を受けました。
6. 園子の場合は幼稚園・小中学校では統合教育の環境で過ごしました。高校からは支援学校で学びました。
7. 現在、園子は自宅から知的障害者の通所する作業所に通っています。
8. ダウン症の子の子育ては、健常の子と比較して落ち込むことさえしなければむしろ楽しく、癒やされたり笑わされたりしながら暮らしています。
9. 現代的な課題として染色体の出生前診断の問題があります。血液検査でダウン症陽性の可能性を相当程度の精度で推測できる技術が開発されたことによります。羊水検査で確定診断が下されます。

私どもは、このような技術やその利用に異を唱える者ではありませんが、
@ ダウン症候群について最新の正確な知識を医療チームから得られること
A カウンセリング、とりわけダウン症者本人や家族による“ピア・カウンセリング”の機会が与えられること
により後悔のない選択がなされることを切に望みます。

   ***
<P>     医療従事者を目指す皆様に伝えたい いくつかの言葉

T まずは私自身から皆様へ。
 「ほほえみによって患者さんに希望を与える医療者であっていただきたい。」

U 短歌を一首
「かの時に 我がとらざりし 分去(わかさ)れの 片への道は いづこいきけむ」
 意味は、「あの時に選ぶことのなかった分かれ道のもう片方は、どこへ通じていたことでしょう」ということだそうです。この歌に因み「分去れの道」と名付けられた小路が長野県軽井沢のテニスコートの傍らにあるそうです。作者は皇后様です。

V 小児外科医・和歌山県医大学長特命教授の窪田昭男先生の言葉
 「私は患部ばかりを診て、ついぞ人間に向き合っていなかった。」
 窪田先生は鎖肛(肛門のふさがった先天異常)の患児に幾度も手術を重ね、(よし、これでほとんど健常と遜色ないところまで来た)と考えていた。その矢先に思春期にさしかかった当該患者が、自ら死を選んでしまった…。

W ダウン症のある田中宏幸君のご両親の言葉
 「何日も生死の境をさまよった宏幸に、昼夜を分かたず付き添い診療に当たってくれた年若い主治医。この先生のご恩に報いるためにも、この子をしっかりと育てようと思います。」
 ひろ君は心臓にとりわけ重い合併症があり、誕生直後、重篤な状態が続いたのだそうです。医療者の真摯な仕事は、その後の子育ての希望にもつながっていることがわかります。

X 「ダウン症の子をもって」の著者・正村 公宏さんの言葉
 「彼(註:ダウン症のあるご子息)のお蔭で、人間について、社会について、沢山のことを考えさせられ、私たち家族全体を より強く結びつけている。」

Y 東西医療の融合をめざす80歳の医師・帯津 良一先生の言葉
 「人のかなしみの分かる医療者であってほしい。」
 東洋療法推進大会(2016年9月22・23日、東京)で講演後の質疑応答で、「医療を志す若い人々に、お言葉を賜りたい」という私の質問へのご回答。

<P> 〔魂門(こんもん)〕目頭から足の小指に至る膀胱経の、背中に位置するツボ。
 取穴:肩甲骨下角の高さから2椎下がった第9胸椎の下方で正中線の外方3寸。
 治効:ダウン症のある人の筋緊張についてのトラブルの調整が期待されるツボ。
 《作者からの一言》今年も和歌山県立医科大学一年の医学部生100名、および保健看護学部生80名を対象とするケアマインド特別講義に行ってまいりました。これがそのときのレジュメです。今回で丁度10回目の授業となります。(宮本)



上は魂門の図/ヒトの染色体(22×2+xy)

 ●この文書は、当会会員である、宮本年起氏の創作です。

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