漢方つぼ物語(259)
澤田流(さわだりゅう)神門(しんもん)

〈 名人賞のメダル 〉

 テレビの視聴者参加番組「素人名人会」の始まりはラジオだった。昭和30年10月に、現在のMBSラジオの前身“新日本放送”でリスナー参加の演芸番組としてスタートしている。そしてその5年後の昭和35年5月に、その前年に開局した毎日放送テレビで放送開始。西条凡児の司会で10年余り茶の間の人気を集めた。ところが大阪万博の開催された昭和45年、西条凡児は不祥事が発覚して、司会を降りた。
 代わって司会に抜擢されたのは人気の漫才コンビ、横山やすし・西川きよしの二人だった。テンポの良い漫才そのままの進行で番組は大いに盛り上がったのだが、3ヶ月もしないうちに横山やすしがタクシー運転手に暴行をはたらいたために無期謹慎処分を食らう。なんと同じ年に番組司会者の不祥事が重なったことになる。1970(昭和45)年という年は、この番組にとって試練の一年となった。結局、このあと番組は西川きよしの単独司会で、平成14年まで長い歴史を刻むことになる。

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 テレビ時代だけでも足かけ43年、正味41年10ヶ月の長きに渡る素人名人会の歴史のほとんど末期、2000(平成12)年5月28日放送の番組に、私と次女の知佳が“親子腹話術”という演目で出演、名人賞と賞金三万円を獲得した。 
 当時の私の日記帳の記述から、想い出をたどってみよう。
〈予選〉1999年12月26日(火)「午後、毎日放送第一スタジオにて演芸部門でトップに演技、予選通過。午後10:55帰宅、母に合格を知らせた。」
〈本番〉2000年4月8日(土)「朝7時半起床、入浴。8:30タクシーで出発。10:05なんばグランド花月に応援団も含め8人全員集合。10:35〜リハーサル 正午より本番 なんと見事 名人賞〜」(註;この日収録したものを後日放送する)
〈放送〉2000年5月28日(日)「ついにオンエアの日。午前中、PTA会長をつとめる吹上小学校で春の親子作業。途中で失礼して鍼灸マッサージ師会の総会と理事会のはざまに会館応接室にて、たくさんの業友とともに放送を見た。夜、国体道路沿いの来々軒で、知佳の幼稚園の時の保護者会仲間8家族で祝宴」
 少し補足する。素人名人会に出場するには往復はがきで出演申し込みをする。すると予選の日時が返信はがきで通知される。都合がつけば指定された日時・場所で予選を受ける。私どもが最初の通知で指定された日は1999年3月28日だった。この日、PTA50周年の記念行事が予定されていたので、やむなく予選は断念。この場合はあらためて出場申し込みをした。二度目に指定された日が、1999年12月26日だったのだ。予選通過後、本番の日時が通知される。翌年の4月8日の土曜日。「春休み中、親子でしっかり練習してくださいね!」、というメッセージが感じられた。、放送日がおよそ一ヶ月半後の5月28日であることが本番収録時に知らされた。そこでこの日までの間に、「テレビに出演します、ご覧ください」という“お知らせはがき”を、親戚知人に出しまくったものだ。

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 ところでめでたくゲットした名人賞のメダルの近況を報告したい。
 普通の腹話術の場合は当然一個のメダルが与えられるのだが、私どもが演じた“親子腹話術”は最初に娘が人形としてトランクから出てきて途中から父親が人形にさせられるというもので、司会の西川きよしさんがいみじくも言われた通り、「親子漫才みたいな」腹話術であったのでメダルも2個もらえたのだ。その後、腹話術を演じるたびに、「これが素人名人会の名人賞のメダルです!」と誇らしく披露し、時には観客に手を取ってもらうべく回覧したりもしていた。メダルの表には「素人名人会名人賞 毎日放送」の文字が入っているが、裏には何も記されていない。
 「森本マークさんに頼んで、それぞれの名前を刻印してもらったら?」
との妻のアドバイスに従って、和歌山でメダルの制作を一手に扱っている森本さんに依頼したのは平成28年秋のことだった。年の暮れ近くに「できています」という連絡を受け、完成したメダルを見て驚いた。
 なんと二つのメダルは飾り台付きの透明ケースに収められ、表と裏、両面が見えるようになっている。表は元のままだが、裏面には「親子腹話術」という演題が共通して両方のメダルの上部に刻まれ、その下には、一つは「宮本敏企 2000年4月8日収録」、今一つのメダルには「宮本知佳 2000年5月28日放送」と刻印されている(これは私がお願いした通りである)。また、元々メダルに付いていたリボンは元の紙箱に入れて渡され、透明ケースからメダルを取りだして回覧することもできるように配慮されている。
 17年目にして華麗に模様替えした二つのメダルは、わが家の玄関で、今日も来客の目を引いている。

〔澤田流神門(さわだりゅうしんもん)〕澤田 健(さわだ けん)氏提唱の灸穴。
取穴:手首のしわの掌側で最も小指寄りの端っこ、骨と骨の間の凹んだところ。
治効:自律神経を調整、予選など本番で実力を発揮できるツボ。便秘にも有効。
《作者からの一言》なんばグランド花月まで応援に来てくれた腹話術の仲間や幼稚園保護者会時代の友人達とは今も家族ぐるみの交友が続いている。(宮本)



上は澤田流神門の図/メダル表側/メダル裏面

 ●この文書は、当会会員である、宮本年起氏の創作です。

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