漢方つぼ物語(263)
  正営(しょうえい)  

〈 Dr. ヤブコージの診察室 〉

(ここは評判の高い名医・ドクター・ヤブコージ先生の診察室です。正面にヤブコージ先生がどっかと座っています。その向かって右側に助手役の看護師が立っています。そろそろ診察開始の時間が来たようです。)
看護師「お待たせしました。それではただいまより、ドクター・ヤブコージの診察を始めます。最初の患者様、お入り下さい。」
ふーちゃん「先生、お願いします。」
ヤブコージ「お嬢さん、どうしたの?」
ふ「私、彼氏にふられちゃったんです!」
ヤ「あなたのような可愛いお嬢さんを振っちゃうなんてひどい男だね。」
ふ「私もそう思います。」
ヤ「あんれ〜、たいした自信だね。」
ふ「そんなひどいやつ、早く忘れようとしながら、忘れられないんです。一日中、心が晴れないんです。」
ヤ「わかった、あなたの病気は、『失恋によるうつ病』です。」
ふ「治るでしょうか?」
ヤ「特効薬を教えるので実践してください。」
ふ「逆立ちであろうが、でんぐり返りであろうがする覚悟です。」
ヤ「逆立ちやでんぐり返りは必要ないです。笑うだけです。」
ふ「笑うだけですか?」
ヤ「私の教える通りに笑ってください。」
ふ「はい、先生のおっしゃる通りにいたします。」
ヤ「彼のことなど、忘れたわっはっは!」
ふ「彼のことなど忘れた、わっはっは!」
ヤ「すごくいい、その調子。では次、新しい恋、すぐそこにっひっひ!」
ふ「新しい恋、すぐそこにっひっひ!」
ヤ「それでは仕上げだよ、明るいあしたに、踏みだそうっふっふ!」
ふ「明るいあしたに、踏みだそうっふっふ!」
ヤ「どうだね、気は晴れたかね?」
ふ「すっかり心が晴れて心地いいです!」
ヤ「それで彼のことはすっかりこんと忘れられるよ、良かったね!」

看護師「はい、お次の方、お待たせしました。どうぞお入り下さい。」
ヤブコージ「どうなさったのですか?」
じいちゃん「最近、いろんなことを忘れやすくなって。」
ヤ「やれやれ、“忘れられない”の次は、“忘れやすい”か?」
じ「はっ?」
ヤ「いや、こっちのはなしじゃ。ではいくつかテストします。今日の日付を言えますか?」
じ「ええっと、確かもう昭和じゃないんですよね?」
ヤ「ダメだこりゃ! 昨日の晩ご飯は何を食べたか覚えていますか?」
じ「私ね、ずっと以前にすごいご馳走を食ったことがあるんですよ。」
ヤ「次の質問に行きます。繰り返し同じ話をする?」
じ「『じいちゃん、その話5回聞いたよ』って言われたことがあるよ。」
ヤ「アレとかコレとかをよく使う?」
じ「あるある。言いたいことが、とっさに出てこなくてさ。」
ヤ「はい、あなたは認知症予備軍です。」
じ「やはりそうですか。なんとかなりませんか?」
ヤ「なにか新しい趣味に挑戦して下さい。」
じ「どんなことに挑戦したら良いじゃろか?」
ヤ「会話を交わすことが大切です。」
じ「一日、全然話をしないことがあるからねえ。」
ヤ「会話に加えて、頭と手を連動して使うと理想的です。」
じ「会話して頭と手を使う趣味があるといいね。」
ヤ「それがおおあり。腹話術だよ!」
じ「な〜るほど。人形と会話して…」
ヤ「人形の口を動かすので、手を使う!」
じ「これは認知症を防ぐのにうってつけだ!」
看護師「手と頭を使いながら人形と楽しい会話を楽しむ。腹話術は、脳みそを活性化する理想的な趣味です。ご一緒に、腹話術を始めてみませんか?」
〈初演:平成29年2月4日(土) 橋本市身体障害者連盟講演会「腹話術あれこれ」〉

〔正営(しょうえい)〕側頭を巡り体側を下る足の少陽胆軽の17番目のツボ。
取穴:正面を見たときの瞳の中心を通る縦線上で、髪の生え際の上2寸5分。
治効:頭の中・頭皮、両方の血行を促す。認知症にも抜け毛・白髪にも効く!
《作者からの一言》この作品がご縁で、橋本市身体障害者連盟の会員の奥様からカツラを頂戴しました。それを付けてDr.ヤブコージとツーショット。(宮本)



上は正営の図/Dr.ヤブコージとツーショット

 ●この文書は、当会会員である、宮本年起氏の創作です。

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