漢方つぼ物語(267)
  腰眼(ようがん)  

〈 居眠り運転、逆走、ブレーキ・アクセル踏み違い 〉

 人身事故と運転中のスマートフォン操作で免停30日の処分を受けたばかりの私が偉そうに言える立場ではないが、高齢者の起こす事故が社会問題になっている。その代表は、ブレーキとアクセルを踏み間違えて暴走させたり、高速道路を逆走して正面衝突したりする事故。さながら高齢者の典型的な事故という印象があるが、実際のところはどうなのだろう。
 NHKの人気番組「ためしてガッテン!」は、平成29年のゴールデンウィーク前に、交通事故をテーマとした興味深い特集番組を放送した。それによると、意外なことに、
@ 高速道路で続けて1時間以上運転していると、だれでも催眠現象が起こる。
A 高速道路の逆走は、他の事故と比べて死亡率6倍の重大事故原因であるが、認知症の疑いのある運転者によるものは9%、精神に障害のある者4%、飲酒による逆走2%で、全体の85%はその他、健常者による思い違いに起因している。
B 逆走・踏み間違い共に件数で最も多いのは20歳代で、70歳代がそれに次ぐ。
 これらを順に解説しよう。

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《高速道路催眠現象》
 時速80〜100kmもの速さで走る高速道路では、どんなベテランドライバーでも、精神を集中して運転できるのは5分ほどで,次第に視野が狭まり、まるで催眠術をかけられたかのように眠くなる。これは人間の眼の見え方に起因する。
人間の網膜に映ずる像は、中心部分が詳細に見え(中心視)、視野の周辺部分(周辺視)はぼやけている。ただ、ぼやけた周辺に動きを察知すると、脳は敏感にキャッチする。
高速道路走行時は視野の周辺が著しく速いスピードで終始動いているので、脳はすぐ疲れて本能的に視野を絞り、直前を走る車の後ろ姿だけを見ている状態になる。すると視界は極度に単調となり、睡眠に入る直前のレベルにまで覚醒度が落ちてしまう。
これを防ぐには車間距離を充分に取る以外になく、前の車が一定地点を通過した後、4秒後に自分の車が通過するよう心がけると(4秒ルール)必要な車間(時速100kmなら100m)を確保できるという。

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《逆走防止の仕掛け》
 逆走を防ぐには高速道路の“出口”を“入口”と間違えない工夫が必要である。
運転者はカーナビに気を取られたり、前屈みの運転姿勢が災いしたりして、案外、標識を見落としがちである。それを防ぐ工夫で成功しているのはズバリ、路面に大きく“出口”表示をして注意を促す仕掛け。これで逆走車が20分の1以下に減らせた成功例がある。

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《ブレーキ・アクセルの踏み違い》
 さて最後に、ここ最近、多発している最もやっかいな事故のパターン、ブレーキとアクセルを踏み間違えて暴走、建造物を損壊し多数の死傷者を出す危険がある。
疑問その1 どんなときに、ひとは踏み間違えるのか?
 九州大学工学部松永勝也名誉教授を中心とする事故防止研究チームの実験によると、ブレーキをかけるべきタイミングで,携帯電話の着信音などを聞かせて驚かせると、4人に1人くらいが踏み間違えたという。
疑問その2 なぜブレーキでなく,アクセルを踏んでしまうのか?
 とっさに判断力を失った状態では、過去により高い頻度でしてきた動作をしてしまうのだそうで、通常運転中、ブレーキよりアクセルを踏む回数のほうがはるかに多いため、あわてて踏むとブレーキを誤って踏んでしまうのだそうだ。
疑問その3 踏み間違いを防ぐ手立てはないのか?
 基本的には人間は驚くと判断力が低下し、正しい判断と動作ができなくなってしまう。これは残念ながらどうしようもない。
やっかいなことに,ブレーキと思い込んで踏みこんだアクセルを離すことは非常に困難で、更に深く踏み続けて惨事となる例が多いという。
松永先生のアドバイスでは、普段からアクセルをゆっくり踏むよう心がけていると、踏み間違いに気づくゆとりが生まれるという。

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 《 松永先生からのアドバイスのおまけ。「一時停止は“二度停止”」 》
 一時停止は減点2点。これは痛い。しかし実際のところ、停止線で止まっても見通しが悪く,もう少しこちらの車の頭を出さないと安全確認ができないことも多い。
どうすべきか。答えは「二度止まる」。1度目は、一時停止違反を取られないために停止線で。2度目は、ちゃんと安全確認をするために少し前へ出て。文句を言わずに割り切って、「一時停止は2度停止」、を肝に銘じよう。

〔腰眼(ようがん)〕正規のツボでないがある症状に良く効く奇穴のひとつ。
取穴:左右の骨盤最高点を結ぶ第4腰椎棘突起の高さの少し下、外方3寸5分。
治効:腰痛に効くツボ。長時間の運転は腰痛の元。休憩してこのツボを押そう。
《作者からの一言》これからは「安全運転の鬼」となって頑張ります!(宮本)



上は腰眼の図

 ●この文書は、当会会員である、宮本年起氏の創作です。

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