それぞれの治療、また、それぞれの治療に用いる器具や材料・消毒の方法などについて、具体的に説明いたします。
もぐさを「つぼ」(皮膚の表面で治療効果のある特定の部位)に置き、これを燃焼させて適当な熱刺激を与え、これによって生体の違和を除き、自然治癒力を促進させ、病気を治す療法を灸治療といいます。灸治療は、「やいと)ともいい、はり治療とともに、東洋医学の重要な物理療法の一つです。
●灸治療の種類
灸治療を大別すると、有痕灸と無痕灸とに分かれます。
(1)有痕灸
皮膚に直接もぐさを置き、燃焼させ、小さな火傷を起こす方法で、たんに灸という場合はこれをいいます。これにはさらに透熱灸(または点灸)と打膿灸とがあります。透熱灸は、特定のつぼに米粒の半分くらいからアズキくらいの大きさのもぐさを、病状、体質、年齢などを考慮して、最も適した大きさ、堅さ、壮数(灸の回数)を選んで行います。この時の燃焼時の最高温度は摂氏80から100度です。打膿灸は、人差指の頭くらいの大きさのもぐさを燃焼させて火傷をつくり、これに膏薬をはって長期間排膿させる方法ですが、最近はあまり行われません。
(2)無痕灸
知熱灸と間接灸とがあります。知熱灸は、人差指の頭くらいのもぐさを使い、熱さを感じたら取り除く方法です。間接灸は、皮膚ともぐさの間にショウガ、ニンニクなどの薄片やみそ、塩、湿紙などを置いて行う方法です。
●灸治療の適応
灸の効果については、神経反射説や火傷による血液成分への影響、もぐさ特有の有効成分の浸透説などがあると言われています。
適応範囲は広く、とくに慢性の頭痛、神経痛、リウマチ、胃腸病、婦人科疾患、呼吸器疾患等に効果があります。